一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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ネットの不平等を知る【デジタルエコノミーの罠】

0.はじめに

インターネットのスタート当初は、

誰もが等しくたくさんの情報にアクセスできる、平等な社会の実現、

新しい時代の到来、と捉えられていました。

 

確かに、SNSの発達は、

大規模な設備と資力を持ったマスコミ以外でも、

情報発信を可能となり、情報に対する考え方は、

随分変わったのは事実だと思います。

 

ただ、時代は進み、実は自由なはずのインターネットも

経済の論理が大きく働き、GAFAMに代表される

大企業が寡占する状態になってしまっています。

 

アプリの利用ができるなら別に構わない、

特に不自由は感じないなら、すなわち自由だ、

お金がかからない範囲の利用で満足しているから、

特に不平等だと感じていない、と思われるかもしれませんが、

今回紹介する本は、

実は、圧倒的な不平等が隠されている、

と気づかされる一冊です。

 

ネットを取り巻く環境を知ることで、

そこに隠されている大きな不平等を知ることは、

とても大事だと思い知らされます。

「ネットは、」「ネット社会は、」とコメントする人や、

またはそんなネット民が気になってしまう人も

知っておくべき内容だと考えます。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「デジタルエコノミーの罠」(NTT出版

著者:マシュー・ハインドマンさん

著者のマシューハインドマンさんは、メディア・公共問題の

研究者だと、著書内に紹介されています。

確かに、研究者らしい、図やグラフの使用や、引用の豊富さが、

内容に厚みを加えていると感じます。

 

2.内容まとめ

本来、自由な情報交換を行う場所として始まり、

今も私たちが使い続けているインターネットは、

不平等、不自由と気づかないぐらいの自由さを確保しながら、

圧倒的な経済力で、ネットの世界を独占しています。

 

例えば、グーグルが巨大なデータセンターで、

顧客データもその嗜好データも総取りしてしまっていること、

それを活用して生まれる利益も総取りし、

さらに巨大化と寡占を進めることなどが説明されています。

 

便利だと思う中で、その便利さには、

ある意味、裏があると気づかせてもらえます。

 

たくさんの情報が、自由と

多様性をもたらせてくれるはずだったはずのインターネットは、

逆に寡占された、不平等なものになってしまっている懸念、

情報産業の独占は、

私たちが取得できる情報の独占にも

つながる危険性があることが述べられています。

 

3.感想とまとめ

いずれの話も科学的な見地から、図解やグラフを使って説明していて、

難しい話が理解しやすい本になっています。

未来予測なども、著者の予測という視点より、グラフの延長を

示す形で述べられているので、納得しやすい内容だと思います。

 

普段は、文章がほとんどの新書を取り上げていることが多い中では、

図、グラフが多い書籍になっていて、

引用も丁寧に示されていて、業界の知識にも豊富に触れられているので、

読み応えも、得られる知識も満足できる一冊だと思います。

 

ネットの独占の強さと危険性を示すのは、

寡占された商業主義ベースのプラットフォーム上で、

2020年のアメリカ大統領選挙で示されました。

当時の現職大統領でも、一企業が独自の判断で、

情報発信を止めてしまうことができました。

もちろん国家に独占されない、というポジティブな象徴とも捉えられますが、

何か一つの思惑で情報が制限されてしまうとも考えられます。

 

また、便利だと思っている検索エンジンも、

AIの選別によって選ばれた情報を見ている形になります。

ツイッターもいいねを読み取り、嗜好の合う情報の順位を上げて表示をしてきます。

悲観的になりすぎる必要もありませんが、過信も禁物で、

例えば、災害対策の様に、ネットに依存できなくなった時の

対策も頭に置く必要もあるかもしれません。

 

また、私たちは、家計や企業経費の中に「通信費用」というカテゴリーを設け、

その割合と必須具合を増していることでの支配性、も感じられます。

日本でも、大手の事業体が寡占してしまって、

通信費と通信インフラという点ではちょっと論点が異なるかもしれませんが、

値段も横並びの状態になっていますよね。

 

4.感想(追加)

自分で能動的に行う読書は、という前提がつきますが、

読書は自由だと考えています。

本屋や図書館で、自分の意思で選択して読書をし、

自分の頭の中に知識を蓄積して、

世の中の見方をアップデートしていく行為は、

ネット時代でも、巨大資本にも支配されない自由な行為です。

当然本の内容は玉石混合ですが、少なくとも、著者や文責ははっきりしています。

チート(裏技)も存在せず、読めば読んだだけ蓄積されます。

このブログでおススメする本を読んでください、という訳ではなく、

読書で豊かになることへのおススメと捉えて下さい。

 

別記事でも、ネット時代に読書を活用することを紹介しています。

決して、読書が遅れている行為だったり、書籍がオワコンではない

ことが少しでも伝われば嬉しいです。

 

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