取り上げている書籍まとめ6冊 ネット心理編①
0.はじめに
いつも記事で紹介している書籍が多くなってきたので、
後から読まれた方、紹介している本だけ知りたい方用に、
ジャンル別に数冊ずつ、記事の簡単な振り返りと一緒に
まとめます。
今回は、「ネット心理編」です。
ネットのコメントの心理を読み解く助けになる本を紹介します。
人を否定したり、知ってることでマウントを取るのではなく、
非難や誹謗中傷を読んでも、できるだけ心がざわつかなかったり、
自分が同じ状況になった時に、状況を理解して、
コントロールしやすくなるために知識を重ねるのが
理想だと考えています。
ちょっと本を読んだぐらいの知識で、
ネット上のコメントを一方的に決めつけるのは、
ネットでの誹謗中傷とあまり変わらない行為だと思うので、
避けていきたいとも考えています。
今回の目次です。
- 0.はじめに
- 1.「道徳は復讐である - ニーチェのルサンチマンの哲学」(河出文庫)
- 2.「ヒトは「いじめ」をやめられない」(小学館)
- 3.「シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」 (幻冬舎新書)
- 「シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇」(勁草書房)
- 4.「はじめての宗教論 左巻 -ナショナリズムと神学-」(NHK出版新書)
- 5.人は、なぜ他人を許せないのか?(アスコム)
- 記事の最後に
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1.「道徳は復讐である - ニーチェのルサンチマンの哲学」(河出文庫)
著者:永井 均さん
「弱者は貧しくとも、力がなくとも、強者よりも正しい」という、
一種の価値転換を起こす、感情の流れを指す哲学用語です。
この思想を知ることで、ネット民が、
なぜ、どんな相手にでも、上から目線だったり、
自分が正しい立場と疑わないコメントになるのか、
などを読み解きやすくなるヒントになると思います。
2.「ヒトは「いじめ」をやめられない」(小学館)
著者:中野 信子さん
いじめや、ネットの非難、誹謗中傷の原因の一つが、
「フリーライダーを許さない」感情と、脳内作用に基づく、
人間の習性の一つだと解説されている書籍です。
何か、ずるいことをして利益を得ていると思われる相手は、
非難や誹謗中傷も構わない、とエスカレートすることにも触れています。
巨悪よりも、割と一般レベルの人たちが行う不正や、不平等に
強く反応することなども読み解きやすくなります。
3.「シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」 (幻冬舎新書)
「シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇」(勁草書房)
シャーデンフロイデとは、和訳すると、
「人の不幸は蜜の味」「人の不幸で飯がウマい」「メシウマ」
という意味で、
人間が生存本能上、他人の不利を知ることで、自分の有利さや優位性を認識し、
快感を感じる作用のことです。
脳科学のアプローチ、心理学のアプローチをしている2冊を
紹介していますが、いずれも、
シャーデンフロイデの感情との上手い付き合い方を提言しています。
4.「はじめての宗教論 左巻 -ナショナリズムと神学-」(NHK出版新書)
著者:佐藤 優さん
宗教学の本ですが、常識や道徳とキリスト教神学がどのように
変遷を行ってきたかを解説しています。
神を定義していても、悪は存在して、戦争も起こります。
宗教はその時どう対応していたのかを解説しています。
「現代の宗教学は宗教を手放しで
素晴らしいと捉えるものであってはなりません」(紹介している本より引用)
というスタンスで書かれている、
現代の社会問題と宗教学の関係などにも触れている、奥の深い本です。
宗教につながる道徳や常識の在り方も考えさせられます。
5.人は、なぜ他人を許せないのか?(アスコム)
著者:中野信子さん
コメントを読んだ相手が、傷ついたり、自死につながっても、
コメントを書いている相手は、正義感からコメントをはじめている、
というのが、ネットでの非難、誹謗中傷の問題の難点の一つだと言われています。
なぜそのような認識を大きなずれが生じてしまうのか、
わかりやすく解説し、
それを、よく知ることで、自分が行うことを避ける提言も書かれています。
記事の最後に
中野さんは、今のストレス社会に関する本を
多数出版されている方なので、現段階では多く紹介する形になっていますね。
一方的に事象を並べるのではなく、
自分がその事象に、自分の中で、または自分の外から、
関わる状態になった時の考え方などに対するスタンスも優しく書かれていて、
私が個人的に考えている事に合っているのも、多分にあると思います。
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