一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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承認欲求は、ネット民だけを表す言葉ではない話【承認欲求の呪縛】

0.はじめに

「承認欲求」という言葉は、随分有名になりました。

ただ、若い人がネットで注目され、「いいね」をもらう為に、

常軌を逸した行動をしてしまう、

若いネット民を表す言葉、という捉え方をされてる向きも見られます。

「承認欲求が強い、イタイやつ(残念な人)」

というような表現で、使い方は限定的に感じます。

 

ただ、承認欲求はネット以外でも非常に広く見られる現象で、

年配の人にでも、承認欲求を満たすために、家族や、

会社の部下などに、悪い影響を及ぼしてしまっていることも

大変多く見られます。

 

確かに、SNSは承認欲求を「いいね」「そう思う」などで、

数値化してくれる為、わかりやすい例にはなったと思いますが、

いわば人間本来の行動であり、

たびたびこのブログでも紹介している、

フリーライダー」にならない為に「承認」されたい、

という人間本来の社会的な本能に基づいた行動だとも言えます。

 

今回紹介するのは、

ネット民を表現する用語、以外にも幅広い承認欲求が

紹介されている書籍になり、大変参考になると思います。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「承認欲求の呪縛」(新潮新書

著者:太田 肇さん

太田さんは、経済学者で、承認欲求研究の第一人者と紹介されている著書もあります。

他にも承認欲求関係の著書や、組織論の著書などが挙がります。

 

2.内容まとめ

承認欲求が使い方によっては、とても有効であること、

ただ、とても強い衝動なので、良くも悪くも働いてしまうこと、

満たされなくても不満だが、満たされた後にも待ち受ける問題、

他人と自分とで、承認欲求の結果を生み出すことから、

承認欲求を他人に押し付けてしまったり、

自分が承認欲求に押しつぶされてしまったり、など

具体例が多く挙げられて紹介されています。

 

若い人の事例が多めですが、年配の人や、

トップアスリートの話などもあり、決してネットだけの話では

ないことも十二分に理解できます。

 

また、個人的な問題だけではなく、承認欲求が組織に及んでしまい、

会社内で、強過ぎる承認欲求が原因で引き起こされてしまう、

パワハラやブラックバイト、果てに生まれてしまう自死、過労死など、

大きな事件につながっている例にも触れられています。

 

また、どうすることで、承認欲求に飲み込まれないか、

どうやったらうまく活用できるか、のヒントも挙げられています。

 

3.感想とまとめ

0.はじめに、でも書いたように、

人間の社会的な動物である、一種の習性としての側面を

承認欲求は持っていると理解できます。

 

集団の機能を守る為に、

フリーライダー(ただ乗りしたり、組織の機能を乱すもの)

を排除し、また集団にとって、必要で排除されない為に、

有能であることをアピールしたい承認欲求の関係が成り立って

いると考えられます。

いじめのことを考える時にも、

この承認欲求については、原因の一つとなりえることを

よく知っておくべきだと理解できます。

 

どちらも単に忌避して、否定するのは危険です。

人間本来の一種の、脳内作用なので、

誰にでも発生してしまう感情であるため、

強い否定は、強い自己嫌悪などにもつながってしまうからです。

性格が悪いから、とか未熟だからとか

他の様々な環境で悪く身についてしまった、などの原因で

起きてしまう現象ではないということを知るだけで、

大きな前進になると思います。

 

いずれの書籍紹介や記事でも繰り返していますが、

誰にでも起こる一般的な現象として、

起きてしまっていることで、自分も他人も責めず、

できるだけ心を傷めずに対応することを目指したいです。

 

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紹介している記事です。

両面から知ることで、いじめの防止にもつながると考えています。

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