一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

同調圧力の変化を知り、ネット社会やいじめを考える【同調圧力の正体】

0.はじめに

同調圧力という言葉は、このコロナ禍でよく知られた言葉です。

自粛警察、マスク警察などは極端な例かもしれませんが、

みんなが守るべきことの空気・雰囲気を生み、

その空気を読んで、守らざるを得ない状況になってしまう、

というものです。

日本での、新型コロナウィルス感染での死亡者数、死亡率が、

海外の他の国に比べて低いのは、

この同調圧力のおかげ、という評価もあります。

 

同調圧力に功罪があることは、

冷静に知るべきことだと思います。

同調圧力は、言葉として広く知られたのは、新しいかもしれませんが、

昔からずっとあることだとも理解されています。

 

今回紹介するのは、

いじめ、パワハラを生み出す一つの原因とも言われている、

同調圧力がなぜ生まれてしまうのか、

また、現代のネット時代の同調圧力はどのようなものなのか、

分かりやすく解説している書籍です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

同調圧力の正体」(PHP新書

著者:太田 肇さん

太田さんの本は、別記事の承認欲求についての話で、

「承認欲求の呪縛」という書籍を紹介させていただいています。

経済学者の方ですが、承認欲求研究の第一人者として、

書籍の紹介では書かれています。

他に組織論の書籍などもあります。

わかりやすくて、煽りすぎないこと、

単に現代の批判だけでもなく、かといって昔は良かった論でもなく、

わかりやすく解説しながら、未来につながる示唆も提示してくれるので、

複雑な問題ですが、読み切りやすい著者さんだと思います。

 

2.内容まとめ

同調圧力とはどんな現象か、

なぜ生み出されるのか、その功罪の紹介から、

同調圧力が生み出していく、

集団的な現象から、社会現象まで広がる様々な現象をわかりやすく解説されています。

 

非常に興味深いのは、

一般的に、同調圧力は、

ムラ社会(集団的な秩序を保つために、排他的になる集団社会)

を保つための、人間の社会的な習性と考えがちで、

田舎で強く、都会では希薄で、ネットでは集団心理が働きにくい現象、

また、中高年者に強い感情、だと捉えられてる向きがありますが、

ネット時代になって、その集団の単位は変化しながら、

同調圧力はむしろ、若者、ネット世代も含む

日本人全体に大きな影響を及ぼしていると、解説されています。

 

また、多様性に不寛容な社会、

新しいことを受け入れられない社会につながってしまい、

大きな不利益を生んでしまう懸念も示されています。

 

社会的な受け取られ方は、別記事で紹介させていただいている、

承認欲求と逆の現象が起きてる感じもします。

承認欲求は、ネット民や若者の事象、

同調圧力ムラ社会の主に中高年の事象、

と考えられがちな一種の偏見も解消してくれます。

 

3.感想とまとめ

著者が紹介している、「ネット時代の同調圧力」は、

ネットのコメントを読み解く時の大きな要素になります。

どの感情や感覚をコメントの根拠にしているのかを考えた時、

マスコミの報道などから、社会的な風潮を感じ、

ネット内では、風潮から導き出した正義を同調圧力として、

それを乱すことを、社会悪と断じて、

乱すと決めつけた相手に正義の非難・誹謗中傷を浴びせる流れです。

 

自分の価値観だけで、強い立場を取ることは心理的に難しく、

立場を補強する為に同調圧力を利用している側面は見られると思います。

 

ただ、道徳や正義の感覚は、非常にあいまいで、

場合によっては道徳や正義そのものが転換を起こしてしまう危険性もあります。

普遍的な道徳観念はもちろん必要ですが、

それを他人の攻撃の材料にすることが良くないことは、

他の記事や書籍を読まれても納得してもらえることだと思います。

 

人間の社会心理に関わる現象は、

色々な事象を示すので、もちろん世代の現象もありますが、

人間共通の現象であるのも納得です。

多面的に事象を知ることと、アップデートし続けることが重要だと思います。

 

色々書籍を紹介していくと、

何だか同じようなことばかりで、知る意味があるのだろうか、

知っただけでは意味がないのではないだろうか、という質問には、

「知ることで、区別・識別が始まり、モヤモヤの払しょくにつながる」

とお応えしています。

 

様々な心理現象に名前がついて、一般論で解説されていくことは

とてもいいことだと思っています。

人が自ら直面している、不安や不満がうまく識別されていく過程と実感は、

すぐには解決や解消ができなくても、識別できなかった時よりは

解決・解消につながる可能性は高くなるので、

読書の一つの大きな意味だと思います。

 

一つの知識や一冊の本でで社会問題が解決できるほど、

社会は単純ではなく、まずは、丁寧に知識を積み重ねていくことが、

人に優しく、自分を強くする一歩一歩なのではといつも思っています。

 

関連記事

hanasakutarou.hatenablog.com

hanasakutarou.hatenablog.com

hanasakutarou.hatenablog.com