一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

「攻撃行動」を知り、被害の軽減やネットを読み解く【他人を攻撃せずにはいられない人】

0.はじめに

他人から、不本意な悪意を向けられている時、

どうしても、冷静な感覚を失ってしまいます。

また、それが長い期間続いていると、異常な状態が恒常化して、

心身に悪い影響が出ます。

 

今回は、その不本意な悪意が、

「攻撃」の形で出てしまうケースを、詳しく説明している本になります。

 

相手コメントの一方的な否定や、自論の押しつけ、社会全体の否定など、

ネットのコメントやそこに隠されている心理を読み解く際にも

とても参考になる書籍です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書

著者:片田 珠美さん

片田さんは精神科医で、臨床にたずさわっているので、

具体的な症例を多く、詳しく挙げてわかりやすく説明されているのが

特徴的です。また、犯罪心理などにも触れている記述もあります。

ちょっとタイトルは「攻撃的」ですが、

内容は、具体的でわかりやすく、読みやすい本です。

 

この本は、図解版もあります。

こちらも見やすくて、人気です。

 

2.内容まとめ

他人に攻撃を向けてしまう人たちの

攻撃のケースと、その心理状況、また対処法などを紹介しています。

比較的知られている、

・いじめ

・支配

パワハラ

・ドリームキラー

毒親

などのケースをはじめ、

表面化しにくい、隠れて行われる攻撃なども例示されています。

中には、攻撃と気づきにくい、

計画的であったり、巧妙であったり、遠回しである方法などもあり、

攻撃の欲求や行動への複雑な構造に驚きも感じます。

 

なぜ、わかっていて抵抗できないのか、

なぜ、そんな攻撃行為を行ってしまうのか、

何を目的とした行動なのかの加害者心理や歪みの構造、

また、攻撃を受けてしまいやすい人、

そして、どうやって逃げたり、対処していくのか、

自分を守ることができるのか、にも触れています。

 

そんな簡単に解決できるものではない難しさにも触れていますが、

知って対処をはじめることの大事さも示されていて、

現実的にどうしていくのが適切か、に話が及びます。

 

3.感想とまとめ

実際の現場で起こっていた、

個別の事例が多く、詳しく紹介されているので、

どれも参考になったり、自分の周りで起こっていたことを

想起させるような事例もありましたが、

 

その中でひときわ興味深かったのは、

無差別殺人など、極端な攻撃を行うに至った事件での、

加害者心理に触れている部分でした。

 

テレビなどでは、世の中に悲観しての、反発行動の極端な行動と

死刑を前提とした、他人を巻き込んだ自殺行動、と捉えられていました。

ネットでも、死刑を恐れず、後先やしがらみを気にする必要がないので、

ネット民から、「無敵の人」と表現されているケースもありました。

 

この本では、自分に対しての社会的な評価や実情が、自分での評価と

ギャップが大きすぎる為、そのギャップの責任を他人や社会に押し付け、

自分の有能さ、万能さを示す為の示威行動としての犯罪、と捉えています。

また、そういう人間の望みが、自分の理想と社会の評価のギャップを

社会の無価値化によって埋めることにあるとも解説しています。

 

ネットのコメントを見ていても、社会全体を否定したり、

崩壊や混乱を望むようなコメントは多く見られます。

また、それを収拾しようとする行動への否定や

新しい取り組みへの攻撃も多く見られます。

新型コロナ禍に対するニュースのコメントなどでは、

より顕著に見られる傾向だと思われます。

 

ちょっと不満だったのは、

本のタイトルや帯の入れ方でした。

どうしても、部数を稼ぐためには、

「怖い人ってどんな人か」と煽って、

興味を引き付ける必要はあるのかもしれませんが、

著者は、その他人からの攻撃で悩んでいる人たちに向けての思いも

随所に入れているので、もう少しその人たちに届きやすいタイトルか、

帯の表現だといいのにな、というのが感想です。

 

関連記事

攻撃を行う一つの理由に、

「他人の不幸を喜ぶ感情」(シャーデンフロイデ)が挙げられています。

知っておくことで、理解が深まると思います。

hanasakutarou.hatenablog.com