一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

ツイッター上の意見の応酬の構図【「許せない」がやめられない】

0.はじめに

今までの記事では、ヤフーコメント(ヤフコメ)関係の

記事を上げていましたが、

今回は、ツイッターでの非難、誹謗中傷について、

取り上げている書籍を紹介します。

 

ヤフコメは、一つのニュースに関して、

基本一つのコメント、

それに対する返信はいくらかやりとりされていきますが、

あまり長期戦に及ぶことも少なく、

すぐ次のニュースに移っていきます。

現在は気に入らないコメントやコメント投稿者の個人に対して

「そう思わない」を集中的につけにくいシステムになったこともあり、

意見の応酬みたいなことはあまり見られません。

 

ツイッターも匿名が可能であったり、一人で複数のアカウントが

取得できるので、匿名のSNSですが、

匿名なりに、投稿者のパーソナリティーが出やすく、

直接のやり取りも可能な仕組みなので、

意見の応酬が泥沼化しやすく、さらに、リツイートで、

拡散していく仕組みを持っているので、

応酬が大型化していく特徴もあります。

 

SNS全般での非難・誹謗中傷を論じる本はたくさんありますが、

ツイッターの構造を踏まえた記述がある書籍は少なく、

独特な意見応酬の構造も浮かび上がります。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」(徳間書店

著者:坂爪 真吾さん

著者の坂爪さんは、他に性風俗に関する著書が多い方で、

性を社会問題として考える団体の代表をされています。

障害者の性、性と貧困など、目が向きにくい問題への

取組をされている方です。

なかなか足を踏み入れにくく、知るに至りにくい事柄に

踏み込んでいる著者さんで、ツイッターも、とても興味深い内容です。

 

事象が大きく一般化できる内容には、データに基づいて、

対象になる人が多くはなかったり、必ずしもデータ化がしにくいものには、

取材に基づいた内容、という書籍を読みたいと思っていますが、

今回は後者だと思っています。

かなり膨大で詳しいツイッターの読み込みがされた上での

詳しい考察だと思います。

 

今回紹介する本では、

ジェンダー問題へのツイートの問題を題材にSNSの心理の影響や変化

が紹介されています。

 

2.内容まとめ

ツイッター上で議論が深まる、

ジェンダー問題についての言い争いの様子から、

ジェンダー問題において、世の中の出来事に対して許せないことに声を上げ、

「いいね」をもらうことでの承認欲求の充実感、快感から、

許せないことへのレベルが上がり、許せないことへの反論が許せない、

中立も許さない、相手との対話も必要ない、

最後には存在自体を許さない、となっていく

様子が、レベル別に解説されていたり、

 

ミソジニスト(女性らしさを嫌悪する人)と

ツイフェミ(ツイッターフェミニストの略)の思考と

対立の構図などもわかりやすく説明しています。

他にも、LGBTを「許せない」、性表現に対する「許せない」

逆に表現の規制も「許せない」などの様々な「許せない」

 

「許せない」にいいねをもらって、エスカレートしていく様子、

「いいね」が正義感となってさらに中毒化していくことも紹介されています。

 

ジェンダー問題で炎上した事例も丁寧に紹介されていて、

SNS事情にも理解が深まります。

ツイッターが苦手な人も一読の価値ありです。

 

3.感想とまとめ

いわゆる「ツイフェミ」の投稿は、

バズった投稿などがたまに入ってくることがあり、

時折触れる程度だったので、

どのような応酬が行われていたのかをかいつまんで

紹介してもらえるのは、ある意味効率がいいです。

真っ只中で、書籍内にあるようなツイートの応酬を

目の当たりにするのは、労力的にも、精神的にも大変なことだな、

というのが第一の感想です。

 

ツイッターは、ユーザーの嗜好に合わせたツイートを集める機能が

あり、ユーザーに耳障りがいいツイートだけが入り、

自動的にバイアスをかけていくような面があるので、

意見が偏ってしまったり、認識が歪んでしまう原因になってしまう、

怖さは感じます。

 

別記事で、フェイクニュースに対する記事の中で紹介した書籍に、

陰謀論を信じる人の行動の中で、

「自分に都合のいいニュースしか聞かない」

「自分に都合の悪いニュースに陰謀論を出す」

という傾向が挙がっていましたが、同じことだと感じます。

バイアスに関する記事内で紹介した書籍内でも、

聞きたい事しか耳に入らず、記憶にも残りにくい、

ことが挙げられています。

 

今回紹介している本の中で挙げられている、

怒りのレベルがかなり上がってしまっている人には、

手間がかかるとは思いますが、

自身の状態を理解してもらうのが正当な流れだと感じます。

 

ルサンチマン」に関して書かれて本の中で、

ルサンチマンの一番の解決の早道は「忘却」であるとも書かれています。

価値転換を起こして、ゆがめてしまったら、

何か一時的にSNSを忘れるような出来事や没頭するようなことが、

解決の早道なのか、と思います。

 

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