取り上げている書籍まとめ5作 いじめ問題編①(DVDもあり)
0.はじめに
いじめ問題は、このブログでのメインテーマの一つなので、
たくさん書籍を紹介してきました。
整理も含めて、まとめて紹介いたします。
紹介する書籍を選んでいる基準は、
・いじめが起こる原因を客観的に解説している
・加害者の心理や脳作用の解説をすることで、加害者の発生防止を意図している
点になります。
今回の目次です。
- 0.はじめに
- 1.ヒトは「いじめ」をやめられない(小学館)
- 2.「許された子どもたち」(DVD)
- 3.「いじめを本気でなくすには」(KADOKAWA)
- 4.「同調圧力の正体」(PHP新書)
- 5.「いじめの構造-なぜ人が怪物になるのか」(講談社現代新書)
- この記事の最後に
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1.ヒトは「いじめ」をやめられない(小学館)
著者:中野 信子さん
なぜ、いじめが起きてしまうのかを
脳科学者の観点から解説している書籍です。
人間が元来持ち合わせている、習性に近い要素から、
いじめが起きるメカニズムが説明されています。
タイトルは「やめられない」としていながらも、
いじめが起こってしまう仕組みを理解することで、
起こらないための心がけにつながることも示されています。
2.「許された子どもたち」(DVD)
監督:内藤瑛亮さん
加害者側の視点を描いた、いじめを描いた中では貴重な映画です。
監督の内藤さんが8年かけて自主制作で臨んだ執念を感じます。
本編に併せて、豪華版のDVDに入っている追加映像では、
出演者で、いじめについてのワークショップが行われます。
誰もが遊び感覚で、いじめをエスカレートさせてしまう危険性を、
出演者自身も感じてしまう様子が見られ、とても興味深いものです。
どうしても、いじめに関する映画は、加害者をよりひどい悪者にして、
被害者に強い同情を集め、何らかの復讐や懲罰をする映画が多く見られる中で、
ちょっと一線を画すと共に、いじめをショーにせず、
スッキリしない映画ですが、いじめを考え、本当になくすきっかけにしたい
意図が感じられる映画だと思います。
3.「いじめを本気でなくすには」(KADOKAWA)
著者:阿部 泰尚さん
いじめ現場の最前線で活動する著者が、
いじめを無くす為の提言を行っている書籍になります。
学校の体制など問題提起と共に、
いじめを悪いことに定義をし過ぎることで、
加害者やその両親が、自分や子どもが悪いことをしていると
認められなくなってしまったり、正当化の言い訳を作ってしまう現状、
被害者がいじめを乗り越える糧とする風潮への批判など、
加害者、被害者、学校関係者、親に向けて発信されています。
4.「同調圧力の正体」(PHP新書)
著者:太田 肇さん
同調圧力は、集団の規律を守ることを、
他人にも規制する圧力で、集団のモラルを保持する一方で、
規律を乱すと判断した場合、その個人を集団から排除する行動に向かい、
いじめの一因にもなり得ます。
ムラ社会の話で、田舎や年配の方に傾向が強いと考えられていますが、
近年のSNSでの非難・誹謗中傷も、
同調圧力が形を変えて、影響している、という考え方を
提言している書籍です。
5.「いじめの構造-なぜ人が怪物になるのか」(講談社現代新書)
学校で、「クラスみんなで仲良くしないといけない」というクラス制の仕組と、
クラス全員の仲良くすることを強い続ける教育の在り方が、
子どもにストレスを生み、集団に合いにくい子どもの排除を、
いじめという形で発生させてしまう、といういじめの仕組を
解説されています。
加害者側の視点、クラス担任の視点からも、
いじめが発生してしまう構造を解説しています。
この記事の最後に
既に起きてしまっているいじめは、
被害者の救済が最優先になりますが、
防止の観点からは、加害者を生まないことになります。
いじめのきっかけやエスカレートは、
いじめの仕組と、加害者心理を広く知ることで、
加害者が早い段階で自制しやすかったり、
軽く、早い段階で周囲が指摘しやすかったり、加担しにくい為の
理解を深めるのが、遠回りでも、効果的なのではと考えます。
いじめの問題は、大人になっても、続く可能性があり、
誰もが加害者になり得るからです。
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