一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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アンケートの数字を疑ってみる【リサーチ・リテラシーのすすめ】

0.はじめに

ニュースでは、世論調査など、アンケートの数字が溢れています。

数字から、世の中の傾向の変化を報じたり、

社会問題を浮かび上がらせて、その問題を論じたり、

数字を根拠にして、情報を組み立てていく現象は、

ニュースだけではなく、バラエティ番組ですら、日夜目にします。

私がよく使うアマゾンの評価も一種のリサーチデータになり、

ある意味、私たちは数字に、日常でもかなり影響されています。

 

今回は、その数字を見る時に、その見方について、

非常に参考になる本を紹介します。

読むことで、ニュースを見る目は随分変わると思います。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ」 (文春新書)

著者:谷岡 一郎さん

谷岡さんは、社会学者で、他にも社会調査関係の著書があります。

同じ社会調査でも、雑誌、テレビでとても好んで使われる、

ランキングのからくりなどを解説している本もあります。

他に面白いのは、確率・統計を用いたギャンブル論の著書などもあります。

 

2.内容まとめ

ニュースなどに出てくる、

「男性の○○%が○○」

「○○%が反対」

など、ニュースに信ぴょう性を加える為の数字の表現の

妥当性の見分け方を解説しています。

 

著者は厳しい調子で、「社会調査の過半数はゴミ」と断じます。

また、それが引用されたり参考されて、さらにゴミを生むとし、

信頼できる方法を解説し、見分け方を

リサーチ・リテラシーとして解説しています。

 

また、調査の正しい方法を、

モデル構築、リサーチデザイン、公表の段階に分けて

因果関係・相関関係の把握、バイアス、質問方法、母数集団など、

それぞれの段階で注意すべき要素を詳しく解説しています。

 

3.感想とまとめ

様々な情報に伴っている、数字について理解が深まる、

とても興味深く、面白い本だと思います。

一度読まれた後、しばらくニュースを見まわして、

どれくらいの数字が使われているかを知って、

改めてサッとでもいいので読み直すとさらに理解が深まります。

 

この本は、データの扱い方に特化している本なので、

作者が、どんな情報をどんな風に思わせたいかなどがないため、

フラットに読めます。

結構厳しい言葉で、適切ではない社会調査を断じてますが、

特に反マスコミという方でもないと感じます。

 

この本で書かれている、リサーチのリテラシーと、

以前別記事で紹介している、ニュースのリテラシーを組み合わせると、

ニュースの見え方は、随分変わってくると思います。

・ニュースに信頼性を高めるために適切なデータを使っているのか

・伝えたいことに寄せているデータ風な資料を使って、

 何かを思わる為のニュース風の情報なのか

の違いは見えやすくなります。

 

実際、引用先があいまいであったり、

調査の方法が公表されないデータは非常に多く、

信ぴょう性の点から見れば、それだけでも、

ニュースを見る目は変わりはじめます。

 

この本が書かれたのは、2000年ですが、

数字を使った意見の誘導は、ネット時代になって、

さらに増えていると思われます。

この本で書かれている、過半数はゴミである、

を上回っているのではないでしょうか。

 

他の記事で紹介している書籍においてもですが、

生み出す工程や作業を知ることで、

どこで手が加えられたり、逆に手が抜かれて、

誤った情報が作られたかを知る手がかりにして、それを批判的な目で見る、

というのは、非常に重要だと思います。

 

批判的に情報を見るというのは、

人を疑うというわけではなく、その過程を疑うことで、

誤った情報に気づいた場合でも、

作った人を非難するのではなく、誤った情報に至ったプロセスを

指摘する、というスタンスで臨みたい、というのが、個人的な見解です。

 

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