一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

ハーフの方の面白く、まじめな話(今週のお題「読書の秋」)

0.はじめに

ハーフの方、と聞くと、

うらやましいと思ってしまう方も多いのではないでしょうか。

イケメンで、もしくは美人で、バイリンガルで、

とテレビで出ているハーフのタレントの様な方を想像してしまいます。

まさにステレオタイプというやつです。

 

ネット上でもそれを補強するような情報にあふれています。

ハーフは優性遺伝だからイケメン、美人になりやすい、と解説されて

いるサイトなどもありますし、

かわいいハーフの赤ちゃんがほしいなら、○○人の方と

結婚しようみたいな書き方のサイトまで・・・

 

ただ、ちょっと考えれば、そんなはずないだろうと気づくと思います。

あくまで、ハーフの方の顔立ちがいい、というのは傾向の範囲を

出ない事象なのは、理解の及ぶはずなのに、

思い込みというのは、迷惑なことだな、とつくづく感じます。

 

今回は、ハーフの方が自ら発信する、

日本国内でのハーフの方の実情を知ることができる書籍を

紹介させていただきます。

きつく書くと、つらい差別の話になってしまいそうですが、

面白く、時にナショナリズムの話などは真面目な、

独自の「ハーフ論」を展開しています。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「ハーフが美人なんて妄想ですから!!

 困った「純ジャパ」との闘いの日々」(中公新書ラクレ

著者:サンドラ・ヘフェリン

著者のヘフェリンさんは、他にもハーフの方についての著書、

もう一つの母国であるドイツ関連の著書などもある方と、

著書内で紹介されています。

 

2.内容まとめ

お母さまが日本人、お父さまがドイツ人の著者が、

日本でのハーフの日常生活での様々な出来事から

著書内で著者が「純ジャパ」と称する、日本人の様々な

ハーフに対する時に面白おかしかったり、時に笑えない反応を

論じている本です。

 

外国人の顔を見ただけで、日本語で質問しても、

英語で返答しようとする駅員さん、

混乱するファーストフードの店員さんなどの笑える小話から、

とにかく別の国の外国人のフリをしてくれ、というバイト、

校則が障害になったり、いじめの話など、ちょっと笑えない話まで、

内容は盛りだくさんで、とても興味深い一冊です。

 

また、ハーフの方、ハーフの家族の方への

アドバイスも書かれています。

名前の付け方、バイリンガルの育て方、学校生活、

国籍の選択、制度面など、

今のところは個人的には使う場面はなさそうですが、

とても興味を引かれる内容が書かれています。

 

終盤は、ハーフの人のナショナリズム

ハーフの立場から見た日本人論が論じられています。

うらやましい面も、そうとも言えない面、

いずれもなるほど、と感じさせられます。

 

3.感想とまとめ

ともすれば、暗い話になったり、

差別だ、多様性だ、と硬い話になりそうなところを、

概ね、明るくポジティブに書かれているので、

深刻になりすぎずに読み進めていける書籍です。

また、とても貴重な立場ならではの見解が述べられています。

 

よく、海外の方から見た日本論、

外国在住の日本人から見た日本論など、それなりに客観的な立場

からの日本、日本人論はあり、それはそれで興味深いのですが、

両方を併せ持つ立場の方が受けた、バイアス、ステレオタイプなど、

心理作用からの説明だけではない、リアルな人間の反応が

直接当事者から語られるのはとても貴重で面白い意見で、

うまく書籍にまとまっているな、と思います。

 

特に、日本では、ハーフ、クォーターと呼ばれる方は

海外に比べると極めて少ないですが、

日本史などを読めば、中国系、朝鮮系のルーツの方が、

それを苗字などで引き継ぐことなどは良く知られていて、

何を持って日本人なのか、なんてこともとても希薄です。

 

世の中が「ハーフ」に持っているイメージを少しでも

リアルなものに近づけたい!

というこの著書への思いは十分に伝わる一冊です。

 

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