取り上げている書籍まとめ5作 ネット心理編③
0.はじめに
このブログでは、ネットでの心理状態を考察する書籍の紹介を
多く行っていますが、今回は、今まで紹介させていただいてきた
書籍を5冊まとめさせていただきます。
ネットのコメント欄、SNSなどでは、人間の心理がより増幅されたり、
匿名性ゆえの独特な心理が働きます。
その心理を読み解くことにつながる書籍・記事を「ネット心理」と
カテゴリー分けをして、紹介させていただいています。
ネットでの感情がエスカレートしていたり、悪意のあるコメントや
意見の応酬を見て、モヤモヤしてしまった時に役立つ知識に
つながるといいな、と考えて記事を書いています。
今回の目次です。
- 0.はじめに
- 1.「デジタルエコノミーの罠」(NTT出版)
- 2.「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」
- (徳間書店)
- 3.「思考力改善ドリル 批判的思考から科学的思考へ」(勁草書房)
- 4.「無理ゲー社会」(小学館新書)
- 5.「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から (新潮新書)
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1.「デジタルエコノミーの罠」(NTT出版)
著者:マシュー・ハインドマンさん
インターネット空間は、本来情報に関して、
政治や経済に対して、自由な空間として期待されながら開発されましたが、
普及と進化に連れて、現在は最も経済原理が反映されている空間となっています。
アメリカの元大統領がSNSでの発言から締め出しをされてしまったのは、
記憶に新しい話です。
危険につながることは、例え政治的な力を持つ人でも止める力があることは、
とてもいい話にも感じますが、一企業が情報発信のプラットフォームを
寡占してしまうことは、時にとても危ういことも想像できるかと思います。
また、電子上の商取引においても全てのマーケティングのデータを
独占されていることなども記されています。
興味深い、この様な状態の未来がどうなってしまうのかも
もちろん書かれています。
2.「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」
(徳間書店)
著者:坂爪 真吾さん
ツイッター上での意見の応酬から、相手が許せない感情が高まっていく
様子が解説されている書籍になります。
論争のテーマは、ツイッター上で最も議論が盛んだといえる、
ジェンダー問題での議論の様子がメインの題材になっています。
最初は、意見そのものが許せないのですが、
それにつながる考え方、その発言者そのもの、それに同意する人、
発想、思想そのものとだんだん「許せない」の範囲がエスカレートしていきます。
そこまで嫌なら、距離を置けばいいはずなのですが、
逆にそれにまつわる記事を探し続け、ハマっていく様子も描かれます。
「許せない」度合いのレベル表など独特の解説もわかりやすく、
とても興味深い本です。
東京オリンピックの反対運動、
皇室の方の結婚問題なども、その様な傾向は大いに見られ、
エスカレートした感情のおさめどころがわからなくて、
あたり構わず「許せなく」なる様子もこの書籍を通すと
読み解くこと助けになると思います。
3.「思考力改善ドリル 批判的思考から科学的思考へ」(勁草書房)
著者:植原 亮さん
「自分には正しい思考力がある」と思っているほど読んで、
是非解いてみてほしい、知識をつけながら、
思考力を試すことができる書籍です。
分かりやすい解説が中心に書かれています。
一般的な書籍は、読み切ることで、「わかった」気分になってしまいますが、
それを実際に確認することができる上では、貴重な存在です。
4.「無理ゲー社会」(小学館新書)
著者:橘 玲さん
現代は一見、リベラル(自由主義)な社会になり、
何でも自由に選び、生きられるはず、になりましたが、
実際は経済的な格差の拡大に伴う、権力、権利的な拡大も拡がり、
平等な社会とはかけ離れてしまい、
「無理ゲー(難解すぎたり、ゲームバランスが悪すぎて、クリアできないゲーム」
の様な社会になってしまった、という著者の主張が解説されていきます。
この書籍紹介の記事では、著者が皇室の方の結婚問題に関する、
ネットの炎上についての考察を記したツイッターのコメント紹介から
記事を書かせていただいています。
5.「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から (新潮新書)
著者: 飯田 浩司 さん
AMラジオのパーソナリティの方が書いた、
マスコミの報道の仕方について論じている本です。
どうしても、マスコミ報道はわかりやすくするために、
何かを批判する形の二元対立の構図を報じることが多いですが、
震災などの災害、また沖縄基地問題など、
現地で細かい取材を行って報道を重ねている著者の視点から見ると
もっと当事者は複雑な感情を持っています。
ネットではその二元論に対する議論を重ねたり、
マスコミ批判ばかりに走りがちです。
もちろん報道のあり方にも問題も感じますが、見る側の考え方も
安易であってはいけないことを考えさせる書籍です。