一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

シャーデンフロイデとは【シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感】

0.はじめに

他人の不幸を喜んでしまうコメントは、

ネットでのコメントで多く見られます。

芸能人の離婚や、エリートの社会的な転落の話、

一流企業の経営悪化の話などは、

コメント数が伸びてるニュースになります。

 

ネット時代の心の荒んでしまった部分なのかと思いがちですが、

実は、昔から、人の不幸は嬉しいニュースなのです。

しかも、日本人だけの話ではなく、世界共通の話、

というのが今回の記事内容です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」

著者:中野 信子さん(幻冬舎新書

著者の中野信子さんは脳科学者で、現代のストレス社会を

脳科学の面から、わかりやすく解説している著書を

多く出版されています。

テレビ出演も多い方ですので、有名な方だと思います。

このブログでも、中野さんの著書は、複数取り上げています。

 

今回は、もう一冊紹介します。

シャーデンフロイデ:人の不幸を喜ぶ私たちの闇」

リチャード・H・スミスさん(勁草書房

こちらは、アメリカの心理学者の方が書かれた著書になります。

シャーデンフロイデに関する研究のパイオニアと著書内で紹介されています。

外国の感覚も入りますが、人間の普遍の感情で、

でもそれと上手く付き合っていこうという記述は

とても興味深く、面白い本だと思います。

 

2.内容まとめ

シャーデンフロイデ(Schadenfreude)はドイツ語で、

「誰かが何かを失敗したり、不幸なことがあった時に、

心のなかで嬉しく思ったり、快く思ってしまったりしまう感情」

になります。(訳はドイツ大使館のHPより引用)

英語では適訳できる単語がなく、そのまま使われています。

日本語では、「人の不幸は蜜の味」となる単語です。

 

その心理状態の由来や、起きてしまう事象、影響、

実験による検証などが、

それぞれ、わかりやすくまとめられています。

 

その感情が起きてしまう仕組みは、脳科学、心理学、

それぞれの専門家の視点で述べられていますが、

いずれも、人間が本来が持っていて、

いい感情ではないですが、持ってしまっても仕方がない点、

持っていることで自己嫌悪に陥らなくてもいい点、

でもその感情にのめりこんでしまうのも良くない点、

 

そして、最も重要なその感情との向き合い方や付き合い方も、

丁寧に書かれています。

 

3.感想とまとめ

シャーデンフロイデは18世紀ごろから記述が出てくる言葉だと

紹介されていて、英語などには同じ意味の単語がなく、

言葉がそのまま使われているところを見ると、

ドイツ語は深い感情に素直だったのだな、と感心してしまいます。

 

別に古典のドイツ語というわけでもないようで、

若い人向けのドイツ語講座でも紹介されています。

しかもドイツ大使館プロデュースです。

young-germany.jp

ネットスラングの「メシウマ」(他人の不幸で飯がウマい)

に訳されていたり、あまり言い訳もなく、さらっと紹介されているあたり、

ドイツやるなあと思ってしまいます。

 

シャーデンフロイデは、妬みの感情として捉えられていますが、

ねたんではいけない、という禁止よりも、

生存本能に基づく作用である為、

妬みの感情を持った時、その劣等感を素直に感じて、

上手く付き合うのが良い、という

感情の、ある意味活用の仕方が参考になります。

 

付き合い方や、

その感じ方に対する対処は、どちらの本でも、上手に書かれていますので、

是非どちらでも読んでいただければ、と思います。

読むことで、

日常でたびたび出会う、自分の、また他人のシャーデンフロイデ

冷静な心で臨みやすくなると思います。

 

新書版になって、買いやすくなっていたり、

読みやすいのは中野さんの著書、

いい意味で、日本人的な切り口ではなく、

海外のユーモアやポジティブさなどが心地よいのはリチャードさん、

というところでしょうか。

リチャードさんの著書は、表紙もとても面白いですよね。

 

関連記事

他記事で中野さんの著書を紹介しています。

いずれもわかりやすく、納得できる上に、

それぞれの問題へのアプローチにも触れられているので、

読んだ後にもスッキリしやすいです。

脳科学に関する部分は、不安・不満、ストレスに対してのメカニズムの解説は、

重複する部分も出てきます。

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