一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

正義と思い込むと、ネットでの誹謗中傷は快感になる【人は、なぜ他人を許せないのか】

0.はじめに

ネットで発信され続ける、誹謗中傷は、

他人から見ると、とても酷い行為ですし、

誹謗中傷をされてしまう人にとっては、 

実際に身体を傷つけられるよりも、つらい時もたくさんあり、

時に、誹謗中傷の対象となった方の命を奪ってしまうこともある、

とても危険な行為です。

最近では、匿名投稿に対する投稿者への訴訟や、

投稿者の特定の煩雑さや期間が軽減されたり、

ネットでの誹謗中傷行為を防止する風潮は徐々に高まっていますが、

なかなか減る気配はありません。

 

減らない理由が、ネットでの誹謗中傷は、投稿者の正義感から

行為が発生しているケースが多いことが分かっています。

近年、先ほど書いた、制度の改正に合わせて、

ネットでの誹謗中傷の被害者が加害者の特定を行い、

訴訟に至ったケースが報道されますが、

なぜ、誹謗中傷に至ったのか、という理由が

「正義感から、自分が成敗することを考え、誹謗中傷に至った」と、

加害者と被害者の意識の差が大きい、という問題もわかってきています。

なぜ、このようなことが起こるのか、

一冊の本を参考に、考えてみます。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「人は、なぜ他人を許せないのか」(アスコム

著者:中野信子さん 

中野さんは、脳科学者で、このブログで、他の本も紹介させて

いただいているように、ネットで起こっている様々な問題を

脳科学の面からわかりやすく解説されています。

テレビ出演も多い方なので、ご存じの方もいらっしゃると思います。

 

2.内容まとめ

タイトルにもあるように、

近年世の中で見られる(特にネットでは顕著になっている)

「他人を許せない」人の心理や、脳に起こる作用などを

「正義中毒」と名前をつけて、実例を交えてわかりやすく解説されています。

 

さらには海外の方と比べての日本人の特性や、

老化との関係、他人との議論についての考察などを踏まえて、

正義中毒から解放される為の具体的な習慣や考え方、

行動や食生活に至るまで、様々な提案が書かれています。

 

中野さんの本は、警鐘や解説だけでなく、

その解決や緩和についての具体的な提案が書かれているので、

読み終わった後に、スッキリできると思います。

中野さんが、たくさん著書を出版され、売れてる理由も納得です。

 

3.感想とまとめ

・自分が絶対に正しいと思い込んでしまうことで、

 自分の考え方と違うものを受け入れられない、

 思い通りでないものが許せない、

 ひいては、他人と議論ができなくなってしまったり、

 他人を排除してしまうこと

・正義の制裁に対して、脳内では快楽物質(ドーパミン)が分泌されて、

 充実感が得られてしまい、繰り返してしまうこと

・バイアス(先入観、偏見)」など、認識の客観性をゆがませる作用が

 正常さを失わせてしまうこと

 

以前、いじめの問題も併せて記事にしている、

フリーライダーを許さない」がいじめや誹謗中傷を発端とするならば、

今回、紹介させていただいた著書の中での、

「正義中毒」は、まさにその中毒の様々な症状について書かれています。

バイアスなども絡み合ってしまう、その複雑さについても理解することができます。

 

怖いのは、中毒というだけあって、

自分が絶対正しいと思い込んでしまうので、

議論だけではなく、他人のアドバイスも受け入れられない状態になり、

なかなかその状態から抜けられなくなってしまうことです。

 

さらに怖いのが、他人を非難する攻撃的な状態が、

脳を傷つけてしまうことも解明されていることです。

脳内物質で快楽を得ながら、脳にダメージを与え続けていく・・・

しかも外からの薬ではなく、自分で脳内に作りだす薬なので、

物理的に止めることもできません。

 

著書にもあるように、「穏やかに生きるために」

脳に起こる様々な現象は、理解する価値は十分にあると思います。

知ることで、客観性を持たせ、中毒状態に陥らない様にする助けになります。

 

他人の批判をすることでの脳へのダメージについては、

「 ネットで他人の誹謗中傷は、快楽と自傷を繰り返す」

という記事で、詳しく説明しています。

 

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