一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

不倫バッシングがいつまでも止まらないワケ【不倫】

0.はじめに

ネット民もワイドショーも、不倫バッシングは大好物です。

最近は、不倫が原因で離婚した俳優に、新しい恋人ができた記事が、

一日のヤフーニュースでの一時的なコメント数一位になっていたのを見て、

日本は平和だな、と思うと共に、何でこんなに

不倫にまつわる内容は標的になりやすいのだろうと感じました。

 

他に気になるニュースはないのかな、

スポーツニュースや、政治の話よりも

不倫の方がコメントが集まるのはなんでだろう、

離婚など、何らかの当人同士での決着がついた話まで、

報じられて、一定の注目を集めるのだろう、

当然、ゴシップ誌などは「売れる記事」を書いて発信します。

不倫に関わる話って、ある意味鉄板の話題なのでしょうね。

 

今回紹介させていただくのは、

脳科学者が不倫について書いた書籍です。

不倫をしてしまう理由も、

不倫をした人をバッシングする理由も論じられています。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「不倫」(文春新書)

著者:中野 信子さん

著者の中野さんは、脳科学者で、テレビ出演なども大変多い方です。

著作も多く、いじめと脳科学を論じた書籍、

他人の不幸を喜ぶ感情「シャーデンフロイデ」を論じた書籍を

このブログの別の記事でも紹介させていただいています。

ネットでよく起こっているコメントに対する心理状態に

対する分析も多くされています。

 

2.内容まとめ

タイトル通り、不倫に関して、

脳科学者の視点から、不倫をしてしまう人側の心理状態、

バッシングをする側の心理、を中心に解説が重ねられています。

また、他の動物との比較、歴史上、不倫はどのように扱われたり、

海外での不倫の事例と日本国内での違い、

育児制度の社会負担の違いなど、

様々な切り口で不倫を分析しています。

 

著者は「人間は一夫一婦制が向いていない」との立場を

冒頭から取り、主張を展開しています。

あえて、不倫によって傷つく人がいる、裏切り、不実などの

感情論を挙げることはせず、考察を重ねているのが特徴的な書籍です。

 

著者の専門である、脳科学や脳内物質と、

不倫やバッシングとの関係は、

専門用語も織り交ぜながらも、わかりやすい解説で、

世間の気になる、ともするとタブーの話題を独特の視点で

理解しやすく書かれているのは、著者の人気の理由だと思います。

 

3.感想とまとめ

ネットやワイドショーでの不倫バッシングに関して書かれている部分は、

いじめに関する著者の書籍同様、「フリーライダーの排除」を用いて、

人間の習性的な感情から発生していることが解説されています。

不倫で、結婚や家庭のリスクを負わずに、快楽を得ている人に対する

妬みを、正義感という感情に置き換えて、バッシングを行っていると

述べています。

また、SNSの普及で、有名人の情報なども得られやすくなることで、

有名人が身近な存在になり、不倫の話も身近に感じられるようになるため、

よりバッシングしやすくなる、といいます。

 

確かに、記事の冒頭でもふれたように、

不倫の話、不倫が原因で離婚した俳優にまた恋人ができている、

という話は、大物政治家が利権で儲けている話よりも、

より身近で、コメントする人にとってうらやましく、妬ましい話、

なのだと読み解いてみると、コメントの数が多いことや、

「許せない」のは、「リスクが少なく、自分よりいい思いをしているのが許せない」

というコメント内容の裏にある感情に納得感も感じられます。

 

著書内では、避妊具メーカーの調査が引用されています。

「過去一年間に、配偶者・恋人など特定の相手以外に、

 性的コンタクトを持った人」の割合は、

男性が64%、女性が29%で、

既婚男性は50代がピークですが、未婚男性、

既婚・未婚女性は20代から60代まで年々概ね増えていく傾向があります。

また海外比較をすると、日本は欧米諸国に比べて不倫の割合が

高い国だとデータが著書内で示されています。

不倫をしてない人が圧倒的少数派、という訳ではないから、

他のニュースに比べて、身近に妬ましいニュースという訳です。

 

「魅力的な人は、もててうらやましいね」の方が、

素直なコメントなのかもしれませんが、そのようなコメントが見られないのは、

ご存じの通りです。

不倫は悪いことだから、うらやましい、

なんて書く人が許せない、となってしまうのでしょうか。

ゴシップ誌の出版社も、当面は鉄板ネタが変わらないので、安心かもしれません。

 

関連記事

hanasakutarou.hatenablog.com

hanasakutarou.hatenablog.com

hanasakutarou.hatenablog.com