一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

いじめ、フリーライダーについて、脳科学から考える【ヒトは「いじめ」をやめられない】

0.はじめに

ネットに横行する批判ばかりのコメント、誹謗中傷を

読み解くとき、「フリーライダー(タダ乗りする人)」を許さない、

という思考が、大きな傾向となり、

経済学の実験からの証明を行った、という内容を

「 いじめ、ネット民の思考の根本、「フリーライダーを許さない」とは」

hanasakutarou.hatenablog.com

の記事で紹介させていただきました。

 

今回は、同じ思考ながら、脳科学から考察を加えている

書籍の紹介を通じて、

なぜ、いじめは起きてしまうのか、を考えてみたいと思います。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

 「ヒトは「いじめ」をやめられない」(小学館

著者:中野 信子さん

漫画版と文書版があります。

私は、両方とも読みました。絵の好き嫌いはあるかもしれませんが、

漫画版の方がサクサク読み進めます。

 

2.内容まとめ

タイトル通り、子どもも、大人も、なぜいじめはなくならないのか、

脳科学の視点で書かれています。

 

ただ、いじめをやめられないから、諦めようではなく、

その傾向を知って、いじめを防止しよう、という趣旨でまとめられていて、

読み終わった後にも、嫌な気分は残りにくい本だと思います。

いじめに遭ってる人も、いじめてしまってる人も、いずれでもない人も、

読みやすい本だと思います。

 

脳科学的な視点は、

・人間が他の動物に比べて必ずしも、生物的に強靭ではない中、

 生き抜くために集団生活を通して生存競争を勝ち抜いてきたこと

・その中で、集団の機能を高める為に、

 フリーライダーを排除する必要があり、それがいじめの原因となっている

・脳内物質の面からも考察が紹介され、

 集団行動を乱すと感じた時に出る脳内物質とその受容体の因果関係

・排除行動に出る際の脳内物質など

が具体的な事例と共に紹介されています。

 

他にも、いじめに遭ってしまっている時の、対処法のヒント、

どうやっていじめを防いでいくか、なども、書かれています。

 

興味深いのは、日本人のおける、フリーライダーに厳しい考え方が、

経済学の実験と同じ傾向があることを脳科学の面からも見られる点で、

日本人が、他の外国人に比べても、優しいわけではないという、

ちょっと悲しいデータも同様に示されています。

 

3.感想とまとめ

いじめが人間の生物学的に起きてしまうのだという、

カニズムが理解できるのは、非常に有益だと思います。

自分が人を責めたくなった時でも、

また、いじめや排除行動に遭ってしまった時でも、

ちょっと引いて客観的に捉えることができる可能性が高まります。

その渦中に入ってしまうと、それどころではなくなってしまうと思いますが、

自分がその集団の中で「フリーライダー」的な何かをしてしまっていないか、

など、原因を探る思考の選択肢が増えるのは、

困った時なりの対処に、とても有益です。

 

結局、複数の科学的見地から、いじめや誹謗中傷、非難・一方的な批判の原因が、

簡単になくならないことが理解できます。

ただ、生物学的な衝動だからといって、

起きても仕方がない、という訳でもないのは、

睡眠欲、食欲、性欲などの三大欲求と同じで、

いつでも衝動に任せては、現代社会は成り立ちません。

知識と理解を重ねて、理性的にコントロールする為にこそ、

よく知っていくべき内容だと考えています。

 

中野信子さんは、他にも、現代人の傾向を

脳科学者の視点で紹介されている書籍があるので、

他記事でも紹介させていただいています。

 

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