一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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良い議論、ダメな議論【新版 ダメな議論】

0.はじめに

一定の理解の共通性を求める議論や交渉には、

論理的な思考が有効ですが、

論理的思考は、字の割に難しくはなく、

立場の違いを平等に理解し合う為には、有効な手段である、

ということは、以前の記事で紹介させていただきました。

(記事末の関連記事で紹介しています)

 

今回は、論理的な思考を元にして、

良い議論、ダメな議論を考えてみようという本を紹介いたします。

 

議論の場は、ビジネスの場や、テレビの討論番組だけではありません。

SNS上でも、様々な議論がなされています。

ツイッター上では、色々な議論が行われています。

このブログでも、ツイッターで意見の応酬が多い、

ジェンダー問題について取り上げている書籍も記事にしていました。

また、ヤフコメなども、ニュースに向けての反論を

論理的に行っているコメントなどにも気づくことが出来るように

なったり、ネットを見る目も変わります。

 

この記事を書いている時は、自民党総裁選の真っ只中で、

総裁候補についてのニュースや、各候補の政策を聞くイベントが

催されていますが、与えられた質問に答える形で、

議論・討論にはなっていないように思われます。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「新版 ダメな議論」 (ちくま文庫)

著者:飯田 泰之さん

飯田さんは経済学者で、

経済関係の書籍を多く出版されていますが、

テレビやラジオ出演も多く、経済をわかりやすく説明されている書籍が

多く見られます。

著書内でも、「ダメな議論」に使われる、

経済のデータの見方やトリックなどに触れています。

 

2.内容まとめ

著者は、論理的思考、分析的思考による議論と、

そうではない議論を比較し、

後者を「ダメな議論」と規定して、その見分け方を解説しています。

 

単に議論の進め方だけではなく、

議論前から行われる、常識の作られ方や場の空気の解説から始まり、

議論のチェックポイントを挙げて、

議論がおかしくないかをチェックする方法、

相手の主張が論理的ではない場合の見抜き方などを

具体例とポイントをわかりやすく解説しています。

 

また、適切な反論の在り方、

分析的思考に対する、批判の典型的なパターンで

議論を成り立ちにくくする方法、

他に、前提や結論をありきにしている議論、

視聴者など、見る人が好みそうな結論に導かれるような議論など、

議論になっていない「ダメな議論」を紹介しています。

 

よく用いられるテーマと、

議論の例文を用いて、どこがおかしい議論になっているかを

わかりやすく解説しています。

 

3.感想とまとめ

この本は、経済学者である、

著者の中では珍しい、カテゴリー外の本であることが、

著書内でも述べられていますが、自身の経済著書や論文に対しての、

批判や意見に対する返答を行ううちに、批判に対しての考察を

加えていったことがきっかけで、議論について理解が深まり、

著書につながっていったことが書かれています。

自分の著書への批判に、できるだけ客観的に、誠実に、

と向かい合っていった一つの副産物なんだと感じました。

 

具体的かつ客観的に議論を見分ける、チェック・分析方法が解説されていて、

非常にわかりやすく、とても面白い本だと思います。

例文を読みながら、さらに議論について自分でも考えて、解説を見て、

さらに何回か読み直していくと、議論の見え方は確実に変わります。

例文を重ねることで、読み取るスピードも速くなります。

 

議論に際しては、自分の主張をごり押しするのではなく、

反論を想定して議論を行い、反論を受け入れ、丁寧に返す姿勢があるかも、

簡単なダメな議論の見分け方だと考えられます。

 

まずは、スタートの主張がおかしいかどうかを、

その主張が論理的かどうかで見分け、

その批判意見をこの本の技術を使って読み分ける、

そして、その批判に対する反論が

当初の主張を保持したまま、論理的に行われるのか、

チェックを繰り返し行うことで、

良い議論の成立を追いかけられるようになります。

 

論理的思考の理解が進むと、この本はさらに読みやすくなりますので、

このブログで紹介している本以外でもいいので、

論理的思考について書かれた本を読んだ後だと、

よりわかりやすく、理解が進むと思います。

 

昔は、「朝まで生テレビ」などの、

比較的時間制限やシナリオを持っていない議論が、

テレビでも見られましたが、今テレビで見られるものは、

時間制限からのシナリオありきの議論風番組に見えてしまいます。

 

日本人は、もともと議論が苦手だと言われる中で、

議論の実演を見る機会が減るのは、

ますます、議論そのものの機会も失われてしまうのが、懸念されます。

結果的に、議論ができない人は、論理的な思考や、

適切な反論ができない人で、他人の意見を聞き入れられなかったり、

自分に都合が悪い意見は、外部の圧力や陰謀のせいにしてしまったり、

ネットで見られるような、一方的な意見の応酬しか、

生み出せないことが多いと思われます。

 

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