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ニーチェの哲学をメンタルヘルスに活用【図解でわかる!ニーチェの考え方】

0.はじめに

今回紹介するニーチェに限らず、

哲学は、どうしても難解で一種の「教養」と捉えられている方は、

多いのではと思います。

どうとでも取れるような言い回しがあるので、

占いや予言のような印象を受けたり、

哲学が他の人文・自然科学の様に、新発見を繰り返して、

新しい社会や技術に反映されている側面も見えにくいからかもしれません。

 

「哲学的」の意味は、

「生命に関する深遠な疑問、人の基本的信条、観念、姿勢に関係する」

と検索結果が出ます。

遠回しであったり、すぐには役立たない、という印象が

持たれているのでは、と思います。

 

今回紹介させていただく書籍は、

哲学を図解化してわかりやすくしている、割と珍しい本です。

しかも、わかりにくい哲学の代表とも言われるニーチェを解説しています。

さらに、日常生活にポジティブに活用しようという、

かなりチャレンジな取組です。

文庫で読みやすいので、是非一度読まれてみてはいかがでしょうか。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「図解でわかる!ニーチェの考え方」

著者:富増 章成さん

著者の富増さんは、肩書としては予備校講師として、

著書内で紹介されていますが、

他にも、哲学をわかりやすくする、独特の切り口の著作を

多く出版されています。

学者の方ではないので、しがらみなく面白い本が出せるのかな、

などと考えてしまいます。

同著者の「空想哲学読本」では、

ガンダムニーチェを知る」という項目もあり、

哲学の解説書とするには危険かもしれませんが、かなり面白い読み物です。

哲学書の解説書、というよりは哲学に親しむ読み物とすべきかと)

他にも日本史に関する本も出版されています。

 

2.内容まとめ

冒頭で、ニーチェ哲学が現代に役立つ考え方が

ちりばめられていることの解説から入り、

実生活の中で活用できる、ニーチェの考え方を

タイトル通り、図解を交えて、できるだけわかりやすく

説明することが試みられています。

 

ショーペンハウアーや音楽家ワーグナーなど、

ニーチェの背景にある哲学や逸話、

ニーチェの特徴と言われるアフォリズム(短文形式の断章)表現を

トピックごとにまとめて、散らかりがちで体系的ではない、

と評されることもある、ニーチェの思想をまとめる工夫もされています。

 

また、ニーチェの挫折と悩みの人生も組み合わせて紹介され、

その人生の場面ごとでの思想体系としてまとめてられています。

図解は主にフローチャートが用いられ、

思考の流れを整理しやすくなっています。

 

トピック毎のタイトルも、面白いことばが選ばれていて、

興味が保たれたまま、読み続けやすい工夫もされていて、

難解な哲学を親しみやすく、という作者の思いも伝わる本です。

 

以前に、紹介させていただいた、

「道徳は復讐である ニーチェルサンチマンの哲学」(著者:永井均さん)

同様、ニーチェの解説本としては、とても面白く、

また、哲学を実生活にも活用することを試みている、一読の本だと思います。

同じルサンチマンについての記述も、

この本でももちろんふれられていますが、この本では、

ボードゲームの人生ゲームや、ロト6など、シチュエーションや例え方が、

面白くわかりやすい記述で、読み進めやすくまとめられています。

 

3.感想とまとめ

なぜニーチェなのかというと、

ニーチェが哲学者であると共に、優秀な思想家であったからだとも推察されます。

また、著書内にもありますが、

ニーチェは、キリスト教(の体制)批判など、既存の価値観に対して、

現代から見てもフラットな思考を提唱しているところも多分にあると

いうのは、納得です。

 

あと、この本は、ニーチェ哲学の解説書の要素ももちろんありますが、

専門的な解説書というよりは、

ニーチェの人生や思想を知り、いいとこ取りをしてしまおう」

という本、という紹介になるでしょうか。

ただ、いきなりニーチェの原著を無理やり読むよりは、

親しむ本を重ねてから入った方が、理解が深まるのは

私の実体験からも、間違いないと思います。

私もニーチェの「道徳の系譜」「ツァラトゥストラはこういった」などは、

このようなニーチェ関連の本を読んだ後、何度か読み直しをしていますが、

初めていきなり読んだ時よりも、理解は深まっていました。

 

哲学書は、抽象表現の極みの様なところがあるので、

なかなか読んだ気分に酔ってしまうようなところがありますので、

この本の様な、面白い読み物を通して、再度読み解くチャンスができるのは、

読書の楽しみの一つだと思います。

 

ちょっとだけの注意点は、

この本だけで、ニーチェ哲学を知ったかぶりをするのは、

ちょっと危険です。あくまで、ちょっと面白い切り口の解説書、

という位置づけですが、

ちょっと類のない著書で、とても興味深いおススメ本だという

感想は変わりません。

 

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