一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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オッサンが劣化できないのは社会不安の一因か【劣化するオッサン社会の処方箋】

0.はじめに

「オッサン」「ジジイ」は、

ネットで、書籍で、そして会社で批判され続けています。

以前の記事でも、「ジジイ」を批判する書籍紹介をさせていただきました。

 

もちろん、「オッサン」も「ジジイ」も、

中年男性、高齢男性そのものではなく、

その奥の、ある特定の考え方、行動に対する批判であることは、

読めば簡単に理解出来て、十分に承知していますが、

色々な差別の原因である、

ステレオタイプ」が中年・高齢男性に対して生まれてしまっているのも

想像に難くありません。

 

確かに、ある程度長く続けていれば、

ある程度のポジションを得られる、という時代は終わって、

能力・成果重視の評価に変わってきていることは事実ですし、

意味もなく、年長者だから仕事の役職も上、という必要もないでしょう。

 

ただ、現役の中年、高齢世代に、

変化する時代の中での人生のモデル設計がないのも事実でしょう。

高度成長期の右肩上がりの時期の人生設計を植え込まれてしまい、

とにかく長く勤めあげること、を価値観として育って、

進学、就職をしてしまった後に、

長く勤めあげる価値観を壊されてしまって、

働きながら、働く価値観の変化を求められ続けています。

いったいどう生きていけばいいのやら、と暗澹としてしまうのも

仕方がないかと思われます。

健康問題を除いた自殺者数は、40代、50代は、

他の年代に比べて多くなっています(H27年、厚労省資料より)

非常に悩みの多い世代でもあると思われます。

 

一番大きな問題は、そんな姿に、若い世代が希望を持てないことです。

自身の親や祖父母の世代が、人生に苦しんでいる様子は、

社会全体の閉そく感を蔓延させてしまいます。

コロナ禍などの一時的な問題もあるかもしれませんが、

人生に希望が持てないことは、非常に大きな問題です。

 

今回紹介させていただくのは、

そんな、働きながら価値観が変わってしまった世代と

それをとりまく社会への「処方箋」とタイトルされている書籍です。

主には働き方の話になりますが、参考になる本です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「劣化するオッサン社会の処方箋

 なぜ一流は三流に牛耳られるのか」(光文社新書

著者:山口 周

著者の山口さんは、組織論、人材育成の専門家で、

多くの著書を出版されています。

外資系の~」という書名が複数見られることから、

海外でのビジネス経験に基づく著書が多い印象です。

 

2.内容まとめ

この著書での「オッサン」は、

傍若無人な振る舞いをして自らを省みることのない人々

と定義されています。

社会の変化により、従来の年長者の在り方と、

現代の年長者の在り方も同時に変化したこと、

同時に、日本の企業も年齢が上がり、新陳代謝の悪い企業が、

劣化をしていることが、この本で定義される「オッサン」を

生み出す原因として、その解決法に進みます。

 

本来は、年長者が知識と経験の集積として、敬われる存在であったのに、

変化のスピードが速まり、また情報のスピードも速まったので、

今までの年齢からの年長者の実態が伴わなくなり

さらには、企業の体制も整っていないため、

働く人にも社会にとっても非常に不幸であることが述べられます。

 

また、著者の特徴を活かしていると思われる、

従来型から新しいリーダーの在り方と、組織の在り方、

若手のオッサンへの対処法、

そして、「オッサン」が活躍できる社会の在り方とはどうあるべきか、

に解説は進みます。

 

3.感想とまとめ

対象となる「オッサン」にも、

また、「オッサン」に悩む若手、組織、いずれにも効果的な本だと思います。

注目部分にアンダーラインなども入り、

どちらかになると、リーダー論が多めのビジネス本になる印象です。

セクション末には、古人の名言の引用なども多く用いられ、

教養にもつながる配慮もいい感じだと思います。

 

最後に、労働年齢が長くなり、一つの企業で、

入社から定年退職まで、というロールモデルからの、

変化に対して、積極的に論じているところは、非常に読み応えを感じます。

年長者に求められる経験で必要なのは、その「質」なのだと

書籍内では述べられています。

 

単に、オッサンを断じておしまい、というのではなく、

労働人生の上での人生設計の考え方や、

変わっていくリーダー像なども知ることができる、

興味深い内容の本だと思います。

 

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