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北京オリンピックの前に、スポーツの力を考えてみよう【フィギュアスケートとジェンダー】

0.はじめに

東京オリンピックパラリンピック開催は、

当初の反対意見の嵐を乗り越えて開催された形となりました。

無観客となり、表彰式の形式も変わるなど、

様々な変化がありながらも、

アスリートの活躍は、感動と元気を国内外に広げたのでは、

と感じています。

 

炎上の様になっていた反対運動が

今のところ、当初懸念されていた海外からの、選手、関係者が

大量に入国することで、感染の拡大を招いた

また、オリンピック開催で、人手が連動して増えることで、

感染拡大が大きくなってしまった、という総括は、まだ見られないので、

これから出てくるのかもしれません。

 

2022年には北京オリンピックが開催されますが、その前に、

改めて、「スポーツの力」に考察を加えている、

書籍を今回は紹介させていただきます。

徐々にスポーツは、「運動」だけではなく、

社会と人間そのものの在り方との関係が密接になってきています。

今回紹介の本は、丁寧に解説され、

スポーツの見方に深みを加えてくれる一冊です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

フィギュアスケートジェンダー ぼくらに寄り添うスポーツの力」(現代書館

著者:後藤 太輔さん

著者の後藤さんは、新聞社の記者の方で、

スポーツをはじめ、主に国内の事件記事などを

担当されていた、という紹介が著書内でされています。

 

2.内容まとめ

著者が約20年、記者として主にスポーツに関わる仕事をされる中で、

感じられた、スポーツの力についてまとめている書籍になります。

 

まずは、タイトルにある「フィギュアスケートジェンダー

から、著者の考察はスタートします。

性的マイノリティを公表しながら競技を通じて、

多様性のあり方を発信する選手、

ヒジャブをまといながら、慣習や差別を乗り越えようと

競技を続ける女性選手、などが紹介されています。

 

続いて、国際親善の手段として活躍するスポーツの歴史的な実例、

海外及び、国内でのアスリートとスポーツの社会貢献、

障害者スポーツと社会との関係、パラスポーツの普及と課題、

ドーピング問題、と話は次々と展開されます。

 

国内、海外の豊富な事例をわかりやすく紹介されていて、

ページ下の用語や選手の紹介なども親切なまとめ方で、

とても丁寧にまとめられている書籍です。

 

3.感想とまとめ

タイトルからは、ジェンダー問題に特化した本の印象も

一瞬感じてしまいますが、

スポーツの持つ力について、広く語られている本です。

人種、宗教、思想、経済格差など、様々な違いを

スポーツは埋める力として扱われている中で、

日本のスポーツとアスリートの在り方が最後に問われている部分が、

印象的です。

 

海外のアスリートは、アスリートの立場のまま、

自由な言論が保証されています。

NFLの選手が試合前に、平和的な形で意思表明を行うことは、

たとえ大統領がくってかかっても、コミッショナーや業界全体が、

選手の言論を守る姿勢をとっています。

 

日本でも、東京オリンピックに際して、

アスリートの発言に賛否が起こりました。

「スポーツは、娯楽や不要不急の一環である」

「オリンピックは税金で開催されているものだから、

 コロナ禍の非常時には中止すべきだ」

「アスリートはスポーツだけやっていればいい」

「アスリートはスポーツで名を成しているのだから、

 専門外のことは発信すべきではない」

というような意見が見られました。

余談になりますが、芸能人の方々の政治的な意見の発信にも、

同様の意見が国内では見られます。

ネットで社会問題に対してコメントする人たちも、

では、そんなこの人はいったいどんな専門家なんだろうか、と思われますが、

どうやら、棚の上に置きっぱなしです。

 

海外では、多様性を認め合い、格差を乗り越える為の文化としての側面、

アスリートを一人の人間として敬意を払う、

国内のスポーツ文化の醸成の必要性が大きく感じられる一冊です。

なかなか、この視点とテーマの著書って珍しいのではないか、と感じます。

 

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