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上から目線 を言葉から考える【「上から目線」の時代】

0.はじめに

以前の記事で、「ヤフコメ 偉そう を読み解く」という

ネットのコメントが偉そうなことが気にかかる、

という記事を書きました。

 

なぜ偉そうなのか、という感じ方の一つに、

上から目線で物事が書かれている、という理由があると思います。

匿名なので、どのような方がコメントやツイートを

書かれているのかはわかりませんが、

立場が上であったり、命令調であることから、

「何で匿名の掲示板で、偉そうに書いているんだろう」

と内容よりも書き方に気持ちが奪われてしまって、

書いてあることが受け付けられなくなってしまいます。

 

これは双方に損なことだな、といつも思ってしまいます。

せっかく伝えたい内容があったのに、伝えることができない、

内容そのものにふれてもらえないのは、

また、読む人・聞く人も有益な情報が、上から目線が気になって

内容が頭に入ってこない、もったいないことだと思います。

これは、今回紹介させていただく書籍によると、

日本語の特性にもよる要因があるそうです。

 

上から目線には、心理学的に自分が偉いと思い込んでいる

側面があることも紹介させていただきましたので、

今回は、言葉の面から考察されている書籍を紹介させていただきます。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「「上から目線」の時代」(講談社現代新書

著者:冷泉 彰彦さん

著者の冷泉さんは、肩書としては米国内での日本語学校の講師

米国に関する書籍も出版され、日本国内でのテレビ出演もされていると

著書内で紹介されています。

 

2.内容まとめ

著者の海外での日本語学校の講師、という肩書が活かされている

印象を感じる一冊です。

いつ頃から、上から目線という言葉が発生してきたのか、

日常やビジネスシーンでの上から目線の注意点、

議論や価値観の意見対立の中での目線の対立、

そして、日本語の特性から生まれるという著者の主張と、

コミュケーション論につながります。

最後には、実際に上から目線を避けながら、どのようにコミュケーション

を交わしていくかという考察が行われます。

 

著書を通して、感情論になりがちな論題を

割とシステマチックに捉えているのが本書の特徴になります。

頻度が高く出現することばが、「テンプレート」です。

まだ比較的新しいことばである「上から目線」に対する、

言い回しが足りないことが、原因と考察されています。

 

また、上から目線でぶつかりやすいシチュエーションと、

避け方の具体例が提示されているのは、

とても実用的な側面も持った書籍です。

テレビドラマの人気キャラの口調や、有名人の口論の様子などから、

わかりやすい実例を織り交ぜて、

解説されているのも、さすが日本語講師の特性だと感じます。

もちろん海外の上から目線なども紹介され、話に厚みが加えられています。

 

3.感想とまとめ

著者が中盤から、懸念することとして述べている、

コミュニケーションの不全や、コミュニケーションの忌避が、

「上から目線」により進んでしまうことは

実際に起こって、より進んでいると感じます。

 

上から目線を感じた時には、上から目線の相手に対しては、

対話や議論を行うよりも、面倒な対立を避けて

コミュニケーションそのものを避けてしまうことになります。

結果、コミュニケーションをしなくていい為の仕組みであったり、

断絶や孤立を招いてしまうことが述べられていますが、

実際に、世の中はそちらの方向に向かって進み続けています。

効率の良さ、という点ももちろんありますが、

社会の中で、人と会話や質問しなくてもいい社会システムに向かって

進んでいると感じられます。

いつも便利になっていると思っていますが、

果たしてそうでない側面もあるのかもしれません。

 

ある程度新しい概念(著者の分析からでは15年前ほど)である、

「上から目線」に気づかずに、忌避や排除をされてしまう人たちも

ある意味被害者の様な感じすらします。

 

価値観の議論などにはコミュニケーション不全が起きやすい

と様々な本で論じられており、この著書でも述べられています。

どうしても平行線が生じてしまいやすいジャンルだからです。

著書内でもお互いの対等性を認め合う必要性にふれていて、

相手の話を聞きながら、論破するのではなく、

多様な考えを認め合っていく必要がある部分なのだと感じます。

 

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