一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

同感から共感へが、多様性を認めるカギ【他者の靴を履く】

0.はじめに

ネットのコメントを見ていると、

ジェンダー問題や、LGBTQなどの

社会の多様性への対応に関するコメントは、

否定的なコメントが多く見られます。

 

これは、社会的な風潮と逆行することもあり、

差別的なコメントのマイナスイメージと、

コメント欄が寄与する閲覧数の数字の効果に、

ヤフーコメント(通称ヤフコメ)を運営するヤフージャパンも

閲覧数とマイナスイメージのせめぎ合いが

悩ましいところがあると考えている、という記事を

以前に紹介させていただきました。

hanasakutarou.hatenablog.com

ただ、ヤフコメやツイッターに顕著なのは確かですが、日本では国内全体で、

世界的に見て、多様性には弱いことは海外からも、指摘を受けています。

オリンピック・パラリンピックでも、

多様性と調和が大きなテーマになっていました。

 

原因の一つに、想像力の欠如を

挙げられることがあります。

基本、相手の立場を想像することが、いじめでも、

差別でも、一番の解決策だと言われています。

 

今回、紹介する本は、イギリス在住の日本人ライターが書かれた、

多様性に対しての著書になります。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」

著者:ブレイディみかこ さん

ブレイディさんは、肩書としては、イギリス在住の保育士、ライター、

と紹介されています。

他にも、いじめや労働、多様性に関する著書を多く出されています。

多様性に関するスタンスも、理論や理想だけではなく、

海外在住の生活の中で、また海外での仕事の体験や経験に基づいての

リアルなコメントが人気で、テレビ出演もされています。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

の著作もとても面白いので、おススメです。

 

2.内容まとめ

多様性を認める社会や心の在り方として、

「シンパシー(同感)」から一歩進んで、「エンパシー(共感)」が

必要であるとして、その意味や、シンパシーとの違いや脳作用、

経済、教育、政治、哲学など、

様々な面からのエンパシーの必要性や効果を考察されています。

 

また、そのエンパシーの中でも、様々なエンパシーの事象を挙げて、

より多様性を認めるエンパシーへの理解を深めます。

 

著者のブレイディさんは、多様性を手放しで認めているわけではなく、

貧富の格差なども、多様性で片づけてしまうことにつながってしまう、

多様性の拡大解釈や、危険性についても提言している方で、

読んでいても、もちろん自論を奨める部分もありますが、

極論になりすぎないようなバランス感がある方だと感じます。

 

3.感想とまとめ

どうしても、他人事の視点で、頭での理解にとどまってしまいがちな、

多様性や差別の問題へのアプローチを見直す、いい機会になる本だと思います。

また、日本人の感覚で、海外での差別問題や多様性へのリアルな体験、

取り組み方や考え方を紹介や提言されているのは、大変貴重です。

 

他者の靴を履く、というのは、

自分をベースにして他者を考えることから脱却して、

他者をベースに自分を考えてみるということで、

多様性や差別に対するアプローチだけではなく、

他者に向かっての基本スタンスだと、気づかされます。

 

その気づきから詳しい解説や事例を読み進めていくと、

より考え方が補強されていく、とても興味深い本だと思います。

 

よく現代社会の生きづらさや、他社への不寛容が、

想像力の欠如と言われる意見は多く見られますが、

自分の立場から、いくら想像しても進展が見られないのは、

これが理由か、と納得できます。

 

多様性の問題では、ツイッターでも、

激しい意見のぶつかり合いがいつも見られます。

また、ヤフコメでも、別記事の通り、ネガティブなコメントが多く見られますが、

他者への共感は、これらの解決策の一つになるだろうと強く感じます。

 

多様性を認める考え方は、いじめの解消に

そのままつながっていくことなので、積極的に取り組むべき内容だと考えています。

 

関連記事

hanasakutarou.hatenablog.com

hanasakutarou.hatenablog.com