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思考の偏りを改善する良書【思考力改善ドリル】

0.はじめに

人間の思考の偏りについては、

様々な記事で解説してきましたが、

今回は、総合的にその思考力を改善する本を紹介します。

 

バイアスや、科学的な思考への理解は、

単にマスコミの情報や、ネットを読み解くだけではなく、

ビジネスや身近な人とのコミュニケーションにも非常に有効です。

 

教科書的な本という位置づけですが、

本の展開のバランスが優れている本です。

トピックも多く、専門書を読む苦痛も感じません。

無駄や蛇足に感じるところも少ないと感じます。

 

私個人は、趣味的な読書での知識だけなので、

なかなか、哲学書の原書や、専門書を読んでも、

読んだだけで、理解が正しくできたのか、読み解くことができたのか、

を確かめることがしにくい中では、

とてもわかりやすく、貴重な本だったので、とてもおススメです。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「思考力改善ドリル 批判的思考から科学的思考へ」(勁草書房

著者:植原 亮さん

上原さんは、現在は関西大学の教授をされていらっしゃいます。

哲学、認知科学、心理学などに著書があります。

まだ、著者の露出が少ない方ですが、

この本の内容やわかりやすさなどから、この先の著書にも、

とても期待してしまいます。

 

2.内容まとめ

認知心理学から、科学的な議論までの基本的な知識を

練習問題形式の問いを混ぜながら、理解を深めることができます。

 

認知心理学の基礎となった、古典的な親しみやすい話も触れ、

認知バイアスから、今の日本語の「アイドル」の語源と言われる

フランシスベーコンのイドラ、

パレイドリアなどのわかりやすく有名な、古典的な認識の歪みの理論から、

ヒューウェルの演繹法などにもふれながら、

認知心理学や、科学的思考の基本から理解することができます。

 

さらに科学的な検証とそうではないものの違いも

わかりやすく説明されています。

ネットでも、科学的な議論は常に求められています。

反証主義に対する、よく科学的な議論で使われる批判的な手法、

科学的に見せている科学ではないものにも触れ、

単なる知識ではなく、実学的に情報を読み解くことにも、

もちろん大きく役立つ内容です。

 

タイトルに煽りがなくて、物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、

大学で、認知心理学や、科学的思考法を学ばれた方以外には、

読むべき本だと、おすすめできます。

「自分は、正しい認識や思考力を持っている」

と思っている人で、専門の勉強を重ねた訳ではない方ほど、

間違いなく読んで得する本だと思います。

 

3.感想まとめ

認識の間違いを、議論や人との対話で気づかされるのは、

なかなかつらいことだったり、

場合によっては、間違いに気が付いていても認められなくて、

状況を悪くしてしまう、なんてこともあるかもしれません。

 

また、科学的な検証や議論についてもわかりやすく解説されていますので、

ネットやSNSで議論されている情報の読み解きにもとても役立ちます。

 

この本のとても珍しいところは、

練習問題形式で、半ば強制的に認識の歪みについて、

考える機会が課されます。

読書の悪いところは、読み進めていくだけで答えや結論を

著者が書いてしまってくれているので、簡単にたどりついてしまい、

どうしてもわかったつもりになりやすいところです。

「知ってる」と「できる」の違いに陥りやすいデメリットを

補う仕掛けがされてます。

 

教科書的な、という紹介をしましたが、

この本ならでは、という新しい内容は少ないのですが、

誰におすすめしても、失敗しにくい本だと思います。

できるだけ最短で、認知心理学から科学的思考の認識を深められる本だと思います。

文献一覧や、読み直しに向けて索引もあり、

これらの内容が、一冊にバランスよくまとまっている本としては

とても貴重だと思います。

 

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