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科学的ではないものとは【科学と非科学 その正体を探る】

0.はじめに

科学的な議論をしよう、科学的ではないものは信じられない、

など、コロナ禍では、「科学的」という言葉も、

非常に多く聞かれたり、見られたりしました。

 

科学的、という言葉は、

「ある事物に対する説明や行為が科学の方法に合っているさま」

と定義されています。ちょっと論理的に似ている感じです。

 

では、何を科学と呼び、何を科学ではないと呼ぶのか、

の境界線は、実は科学者の方にもあいまいな部分があり、

今日、紹介させていただくのは、

染色体やウィルスなど、ある意味今一番ホットなジャンルを

最先端で研究されている生物学者の方が書かれたエッセイ本です。

「科学」の見方が深くなる、興味深い一冊です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「科学と非科学 その正体を探る」(講談社現代新書

著者:中屋敷 均さん

著者の中屋敷さんは、

染色体外因子(ウィルスやトランスポゾン)の専門分野の研究と

著書内で紹介されています。

専門分野の理解というよりは、より新しく、見解が変わり続けている、

ジャンルの方が書かれている、という情報は読むうえで、

本の理解が進みやすいかもしれません。

 

2.内容まとめ

はじめに、でもふれましたが、

生物学者の方が書かれた、科学エッセイになります。

タイトルにある「科学」と「非科学」の

主に間の部分をメインテーマに書かれています。

 

科学が社会に求められる役割、その中で科学が取る選択、

科学と似非(エセ)科学、科学と非科学の違いと境界線、

変化をし続ける科学と、科学のリスク、

主に大学教育など、未来に向けた科学の問題、

他、様々な著者の科学にまつわる見解やエピソードが

読みやすく興味深い話が続きます。

 

また、権威主義が科学をゆがめてしまう問題など、

社会と科学の関係の警鐘なども述べられていますが、

政治と科学であったり、また大学運営と科学であったり、

科学者と科学、以外の話題はなかなか

科学者が科学に集中できない、難しい問題を感じさせます。

 

3.感想とまとめ

非科学が科学になっていく過程や定義はとても面白い内容です。

科学として成立していなかったもの、気づきや迷信みたいな

科学的な実証ができなかったものを実証し、

科学にしていった過程も紹介されています。

特に、著者が関わる生命科学では、新たな発見が生まれ、

科学が成立していく過程が多いこともあり、

科学に対する絶対観に違和感を感じることがこの著書の

きっかけの一つに繋がっていると感じられます。

 

また、科学の絶対性に妄信することへの警鐘も行われています。

科学は演繹性を伴い、再現可能となって初めて科学的となりますが、

あくまで、確率論の範囲で、例外も生じる中でしか成立せず、

しかも、新しい発見で変化する可能性も持った中での

現在の科学という位置づけを理解した、色々な条件付きで、

科学的という立場を取れるというスタンスで、

最先端の人ほど、科学絶対ではないということは興味深かったです。

 

また、神託の時代の神官も、現代の科学者も

民衆に世の中の事象をわかりやすく伝えていく役割を

担っていると書かれています。

いつの時代でも、オーソリティに伝えてもらって、

情報に信頼性を求める、人間本来の感情は変わらないなあ

と思います。

だから、伝える側がその後ろにある非科学や科学、科学の信頼性を

伝えているこの本は、とても貴重な話だと感じました。

 

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