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その意見、自分で考えてますか?【自分の頭で考える日本の論点】

0.はじめに

日本の様々な社会問題に対して、色々な議論、意見が交わされます。

ただ、正しい議論を行う為には、論理的な思考が不可欠ですが、

論理的な思考の為には、その思考の基となる、根拠が必要になります。

 

ただ、実際には、根拠に説得力が薄く、

主観的な「~であるべき論」だけを論じる、

感情的な意見の応酬となってしまうことが多いのが現実です。

意見に主観が入るのは悪いことではないのですが、

感情や願望に基づいた意見では、論理的な議論は成立しません。

 

今回は、日本の代表的な諸問題に対して、

その論理的な思考力を深めるための考え方と、

基礎知識もつけさせてくれる、非常に秀逸な一冊を紹介させていただきます。

人に語らなくても、社会問題を考える上で、

とても大事なことを学ばせていただける書籍です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「自分の頭で考える日本の論点」(幻冬舎新書

著者:出口 治明さん

著者の出口さんは、前生命保険会社の経営者、現大学の学長と

著書内では紹介されています。

読書家としても有名で、読書に関する著書、

経営者向けの書籍、また、世界史関係の書籍など、

多くの著書を出版されています。

 

2.内容まとめ

・新型コロナウィルスの対応

グローバリズム

・日本人の働き方

・気候変動問題

・LGBTQの問題

憲法問題

など、現在大きな社会問題になっている事

また、議論が平行線になって結論が出ていない事柄に対して、

論点と考察を行います。

それぞれの問題とも、

基礎知識となる点(ファクト)と、

思考のポイントを挙げて、論点を明らかにしていきます。

思考のポイントに関しては、著者の思考のプロセスが示され、

なぜその主張に至ったのかを解説しています。

 

主となる思考プロセスは、

物事を考える時、僕がいつも大切にしているのは、

「タテ、ヨコ、算数」の3つです。

タテ、すなわち昔の歴史を知り、

ヨコ、すなわち世界がどうなっているかを知り、

それを算数、すなわち数字・ファクト(事実)・ロジック(論理)

で裏付けていく。

そうすることで、メディアやSNSを追いかけているだけ

ではわからないことが見えてきます。

と冒頭でプロセスが紹介されています。

 

著者のその問題への考え方は述べられていますが、

決して押しつけではなく、読みながら一緒に考えることが

勧められています。

最終項で、「自分で考えるための10のヒント」として、

考え方のポイントがまとめられています。

 

3.感想とまとめ

書籍内で挙げられている問題はもとより、

他の様々な問題への考察や議論を加える為に、

大きく参考になる一冊です。

各問題とも、非常にわかりやすくまとめられていること、

ボリュームはそこそこありますが、

問題ごとに、読みやすく分けられているため、

興味のあるところから読み進めることもできる構成になっています。

 

著者の本全般を通してですが、

とても理解しやすく、また押しつけがましいところもなく、

丁寧に書かれているので、簡単な内容ではないですが、

読み進めやすい特長があると思います。

終盤の「10のポイント」では、

今からでも「自分の頭で考える」ことが始められるように、

ハードルを下げる為の工夫も提案されています。

考える際の基本となることは

極めてシンプルかつ正論が解説されています。

要約すると、先の「タテ・ヨコ・算数」に加えて、

・ファクトを大事にすること

・問題を分類すること

・まず自分から変えてみること

・言行一致

・好き嫌いを評価基準にしない

・常識を疑う

という内容がアドバイスとして挙げられています。

 

著者の伝える、

「メディアやSNSを追いかけるだけでは、わからないことが見える」

ことが、ストンと腹に落ちる、必読の一冊です。

論理的な思考(ロジカルシンキング

批判的な思考(クリティカルシンキング

が理屈としては理解できても、

実際の社会問題の議論に展開しにくいと感じている方も

著者の考えるプロセスをこの本で読むことで、

それらの理解にもつながる、効果のある本だと思います。

 

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