子どもに読んで欲しい、いじめを考える書籍3作
0.はじめに
子どもとって、学校でのいじめの問題は、
いたずらの範囲でおわってしまうものも少なくありませんが、
時に生死につながる事件となってしまう事件も後を絶ちません。
まわりの大人が、子どもの全ての出来事を把握することは
実際には難しいですし、
自分の子どもの時を考えても、必ずしも周りの大人に、
何でも話すわけでもないのではないかと思われます。
思春期な場合もあるかもしれませんし、
子ども自身が、自分のことを上手く話すことができなくて、
話しそびれてしまっている場合もあるかもしれません。
親が忙しくて聞くことが出来ていない場合もあるでしょう。
今回は、子どもがそんな時に自分でも読めて、
いじめを考えるきっかけとなる書籍を3作紹介させていただきます。
いずれも、特に親と一緒に読む必要はない作品で、
かといって、押しつけも少ない作品だと思っています。
リビングの一角や、もし家族共通も本棚があれば、
ちょっと見えるところに置いて、興味を持ってもらえたら、
いじめについて、考えたり備えたりするきっかけになれば
いいな、と思う作品です。
今回の目次です。
1.「いじめの直し方」(朝日新聞出版)
著者:内藤 朝雄さん、荻上 チキさん
いじめの対処法について、子どもが読める様に書かれている書籍です。
ページも少なく、イラストも多く読みやすい構成になっています。
特徴的なのは、「いじめとの距離の置き方」にふれられている点です。
場合によっては、学校の先生もあてにならなかったり、
最悪、ことを悪化させる可能性もあります。
そのような中で、まずは合わない相手と距離を取ることが書かれています。
他に、相手のパターンによって、
どのような作戦が効果があるか、などにもふれられています。
前記事「大人が読んでおきたい、いじめ関連のおススメ書籍3冊」
で紹介させていただいた、「子どもが学校に行きたくない時に読む本」
に通じるところもある書籍だと思います。
2.「いじめ 心の中がのぞけたら」(朝日学生新聞社)
作者:本山 理咲さん
朝日新聞の中学生向け新聞への中学生の投稿を元に、
マンガ作品にしている書籍です。
多感な時期の子どもたちのいじめの捉え方が豊かに描かれています。
いじめられている子ども、いじめてしまった子ども、
見ている側のこども、どちらも体験した子ども、など
様々な立場で中学生が実際に感じたリアルな感覚が
優しい画調のマンガで表現されています。
15年以上続いているロングセラーですが、
初期の頃の作品でも、最新の作品でも、
ある意味変わりにくい、世代の感性が表現されています。
大人の話では伝わりにくい、いじめを「共有する」作業が
できる作品だと思います。
3.「聲の形(こえのかたち)」(講談社 少年マガジンコミックス)
作者:大今 良時さん
少年マガジンで連載されていた、現在は完結しているマンガ作品です。
映画化もされていて、サブスクでも視聴可能です。
ささいな違和感から、いじめを行った主人公が、
いじめ返しに遭ったり、いじめの感情の後悔と人間不信に悩みながら、
成長を重ねていきます。
クラスの子どもたちの心情なども丁寧に描かれていて、
誰もが何らかのシンパシーを持ってしまうと思われます。
映画版は、マンガ作品に増して、絵も音楽も素敵で、
いじめを学習するような意識もなく見はじめて、
見終わって、いじめについて考える作品になっています。
まとめ
大人の理屈をおしつけずに、子どもの感性で
読み進められることが大きなポイントだと思います。
また、いじめる立場の子どもの心情にせまっている作品もあります。
単にいじめを悪いことと定義することに終始せず、
どちらの心情も理解することで、よりいじめの防止にも
つなげていく必要があると思われます。
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