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いじめを減らす方法本の、ベストバイの一つ【子どもを救う いじめが終わる方程式】

0.はじめに

いじめがなくなるといいな、ということは

多かれ少なかれ、みんなが考えています。

真剣に考えている人、めんどうだからなければいいという人、

遭うのが嫌だから、見るのが嫌だから、理由は様々でも、

なくなればいいことだとは思う人がほとんどだと思います。

 

今回、紹介する方法と書籍は、

タイトル通り、いじめを減らす具体的な方法が書かれた本では、

ベストバイの一つになると思います。

今までも、個人的な見解ながらも、

読んだ方が得になると思う本しか紹介していませんが、

今回は、その中でも一押しの一冊になると思います。

 

ただ、この本で書かれていることは、

確かにいじめの扱い方としてと、伝え方をまとめた点ではとてもいい本で、

独特の新しいアプローチではありますが、

今まで紹介している本からも、つながる知識、考え方はたくさんあり、

読書を重ねることで読み方が深くなり、一冊だけで考えるよりも

知識の補強をされていく部分は大いにあります。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

子どもを救う いじめが終わる方程式(学術出版)

著者:品田 奈美さん 

品田さんは教育コンサルタントで、
このメソッドでの講演をされていることが、
著書内で紹介されています。
私も、講演を聞いたことがありますが、
上から目線でもなく、自分の成功体験を押し付けるでもなく、
また、お涙頂戴のお話から展開される、などもありません。
相手の目線に合わせたお話です。
著書もかなり詳しい説明ですが、お話も元気でとても理解しやすいので、
機会があるなら、どちらも、とてもいいと思います。
 
他にも、「いじめ傾聴士」の育成などにも取り組まれていて、
もっと活動が広まっていくといいな、と思います。
 

2.内容まとめ

著者が提唱する、いじめ防止プログラム、
「自分発見テクノロジー」(いじめが終わる方程式)に至るまでの
著者の人生体験による背景、
プログラムの詳しい解説と、実演内容、そして学校への問題提起、
実践された人の声、で構成されています。
 
ちょっと、帯の記述からだと、
失敗や挫折を乗り越えた体験談に似たケースだけを対象にしたような、
限定されたメソッドのような印象を持ってしまうかもしれませんが、
読まれると、その懸念はなくなる方法とすぐに感じられると思います。
 
実践部分については、事前の解説部分があることで、
再現性の高さや、講演内容の理解が深まる内容になっていますが、
いきなり実践部分だけを読まれても、
理解が十分にできる内容で、実践から読まれて
内容が面白かったら、改めて最初から読み進められてもいいかと思います。
(実は私は、本の帯から身の上話に警戒感が走ってしまって、
 最初は、実践部分から読んで、面白いと思って、読み直した経験から)
 
書籍冒頭に書かれているように、
これまでとは異なる、いじめ防止のアプローチの本です。
 

3.感想とまとめ

著書冒頭でふれる「全く新しい点」は、いじめる原因も、いじめられる原因も
同じところにある、というアプローチです。
加害者感情の分解を行い、いじめの防止を図りますが、
表裏一体の現象がいじめられる側にも起きている、という解説は、
間接的に伝えてる本はありますが、直接書いているのは初めてだと思います。
認知バイアスの基本的な理解などを行いながら、
自分と他者への認識に客観性を持たせていく考え方になるかと思います。
 
これは、今までの、「いじめる人は悪い人」
「いじめたことは悪いことだから反省するべき」という考え方の人には、
随分受け入れにくい考え方で、
事実、大人の方がすんなりとは受け入れられない、と記述されています。
じゃあ、加害者を保護するのか、被害者は保護されないのか、
いじめを帳消しにして免罪してしまうのか、
というと、それとも違うアプローチです。
 
そもそも、これからいじめが発生することを防ぐことに
主眼をおいているので、いじめによってできた傷についてを
メインの話題にはしていませんが、
いじめのメカニズムを知ることで、これまでの
なぜ、いじめが起こってしまっていたのか、の理解から、
先行きが見えない感覚から抜け出すきっかけになることには触れられています。
 
同じ嫌がらせが、成立する相手と成立しない相手が存在し、
いじめる人、いじめられる人に、エゴの補完関係ができる時に
いじめが成立する、というところは、かなり納得できます。
これが表裏一体の同じ原因にあり、自己認識の改善で
いじめる人にも、いじめられる人にもならない、ということは
かなり興味深い理論ですが、わかりやすく解説されていると思います。
 
また、既存のアンガーマネジメントや、アドラー心理学の効用と限界に
ふれている点は、結構挑戦的ながらも
個人的な意見ですが、本質をついていると感じます。
 
まずは、早く認識を変えて、未然にいじめを防ぐことができる可能性が高く、
将来に継続性もある、子どもから知ってほしい知識だと思います。
大人で、特に非難・誹謗中傷を繰り返す人たちには、
時間がかかったり、残念ながら手に取らなかったりするかと思いますが、
理解が深まることで、自分の人生の価値が高まる可能性は感じる本だと思います。
 
もちろん根深い差別問題などは、これに加えていく理論はあるかと思いますが、
著者も書いているように、いじめの根絶に、一石を投じるメソッドと本だと思います。
 

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