いじめ、ネット民の思考の基本、「フリーライダーを許さない」とは
0.はじめに
ネットで常に人が怒っている、
人が人を批判したり、排除しようとする、
いじめを起こそうとする理由に、
「フリーライダー(タダ乗り)」を許さない
という人間本来の習性から由来する考え方があるといいます。
この考え方を通して、ヤフコメやツイッターなどを見ると、
何故、ネットで批判や誹謗中傷のコメントが横行するのかを、
結構読み解くことができます。
今回の記事に併せて、
・ネット民が盛り上がる記事とは?キーワードは「他人の得が許せない」
などもご覧いただくと、かなりネットの批判コメントが読み解けます。
今回の目次です。
1.「フリーライダー」はもともと経済用語
free riderの英訳で、簡単にいうと「タダで乗る人」なんですが、
経済用語で
公共財のように非排除性があるサービスについて、対価(供給のための費用)を支払わないで便益を享受する者を指す。
とウィキペディアにあります。
難しい言葉になりますが、
通常、サービスを受けるためには対価が必要になりますが、
その対価を払わずに、サービスを受けている人を指すことになります。
例として挙げられているのが、
NHKの放送を見るためには受信料が必要とされていますが、
受信料を払わずに見る人が出現すると、
その人がタダ乗りする人、「フリーライダー」となります。
自分が有料で享受しているサービスを無料で受けていると、
自分も払いたくなくなる、または払っていない人に怒りが向きます。
2.企業で問題視される「フリーライダー」
「フリーライダー」で検索すると、
「フリーライダー社員」という形で結果が出てきます。
企業活動に協力的ではないのに、その成果(お給料や、会社の福利厚生)を
受けている社員を「フリーライダー社員」として、
その解決方法を論じてるサイトや著書などが多く出てきます。
今回は、フリーライダー社員については触れませんが、
会社内、というか社会的に許されなさそうな臭いはプンプンしますね。
3.日本人は、自分の犠牲を払っても相手の利益を許さない
フリーライダーを許さないのは、
社会的な動物として、集団生活が必要だった、
人間本来の一種の習性だと言われています。
別記事で、
今回は、経済学者が行った実験の結果で、
海外の方と日本人の差を見出した面白いデータがあります。
西條辰義さんという経済学者の方の
というプロジェクトの記事を参考にしています。
細かいルールは記事を見ていただくこととして、
「公共財供給と囚人のディレンマ」という公共財に対する、
フリーライダーに対する許容度を
個人の給料からの出資割合から測るゲームと、
そのゲーム実験の進化・改良系である、
「タカハトゲーム」という、公共財の運営に対して、
本来は、こちらも相手も共通で給料の中から費用を供出すると、
利益が最大化する公共財があった場合、
相手が出さないと考えた時にいくらまで出せるか、
自分に一定の利益がある中で、出さない相手にどこまで利益を許すか、
というゲームで、お互いの利益の許容範囲を複数回計測する実験をしました。
面白いのは、通常、自分の利益を最大化させる為の出し分で
均衡化するはずで、海外では、
「自分の利益が最大化する」ポイントにもっとも集まるのに対して、
日本では、
「自分の利益は最大からは減ってしまっても、相手の利益がより減少する」ポイントに
実験(ゲーム)の回数を重ねるごとに
85~90%のプレーヤー(実験参加者)が収束していく、という面白い結果が出ました。
プロジェクトのタイトル通り、
「日本人は、いじわるがお好き」という結果になった訳です。
最大の利益を求めるよりも、
日本人は、自分が損してでも、相手に利益を許さない、
そんな気質が数値的にも現れる、というのは大変興味深いですね。
4.まとめ
ネット社会でも、日常社会でも、
自分たちの周りがどのように考える傾向があるのか、
が読み取れる興味深い考察だと思われます。
公共財の運用に対して、思考のばらつきが少なく、一定の傾向があるのは、
強みだと、弱みとも考えられます。
補助金や支援に対して、日本では、支援が遅くなったり、
煩雑化して、補助金の収支が悪くなっても、抜け道や不正の申請の防止に
力を入れる傾向が強いといいます。
「なんでそんな運用をしたのだ」という文句は出ませんが、
結果的に自分たちに残った利益は少ない事実が生じてしまうのは、
もったいなくも感じます。
グローバル化の中で置いていかれていく日本の、
克服しなくてはいけない国民的な特性なのかもしれませんね。
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