一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

いじめをきちんと両面から考える【許された子どもたち】

0.はじめに

いじめについてのニュースを見る時、

いつも加害者側の情報の不足を感じます。

何で、いじめを行ったのか、

いじめをする心理状態や、前提となる条件などはあまり明かされず、

いじめ被害のひどさを、ある意味、テレビや雑誌が盛り上がるように、

加害者を悪、被害者を善として、

成敗感情を全開にして、ある意味「いじめ返し」を行います。

残念ながら、いじめを本当に無くす為ではなく、

社会問題を考えるフリをするネタの一つとなってしまっています。

 

結果、いじめは犯罪、悪だから発覚次第成敗する、という繰り返しで、

加害者が発生しない為の検証が行われない、

本当は、加害者心理の発生を防がないと、いじめは防げないのに、

「いじめをするのは悪いやつ」の視点のみになります。

 

今回紹介するのは、珍しく映画です。

もちろん映画本編も興味深いのですが、

DVDに入っているワークショップの映像の切り口が、

なんでいじめは生まれて、エスカレートしていくのかの

加害者心理に触れる内容があり、とても興味深い内容です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する映画

「許された子どもたち」(自主制作)

監督:内藤瑛亮さん

下記のインタビューがとても興味深く、映画に引き込まれる準備を

十分にさせてもらえます。

www.cinematoday.jp

監督の内藤さんは、漫画の実写化の映画などで名前が挙がる方ですが、

今回は、見た目の面白い演出に捉われず、またリアルなキャスティングにこだわり、

8年かけた自主制作の形で実現された、いじめを題材にした映画です。

 

2.内容(ネタバレなし)

いじめの加害者側の視点も含めて描かれている、

いじめを題材をした映画の中では、貴重な映画だと思います。

また、いわゆる有名な俳優さんもなく、

子どもの年齢も実年齢に近い、リアルな感じが、ドラマチックさを上手く排して、

見た後にも深く考えさせられる映画です。

 

DVDで非常におすすめなのが、

撮影にあたって行われたワークショップの様子です。

いじめが、簡単なきっかけで発生して、

深い悪意がなくても、遊び感覚でエスカレートしていくことを

演者がワークショップで実感している部分は、

いじめのいくらかのパターンに当てはまるのでは、と感じさせます。

 

3.加害者心理の理解が、いじめの防止につながる

「いじめは悪いこと」

「いじめるやつは悪いやつ」

だけでは、絶対にいじめはなくならないことを痛感させる映画です。

ワークショップの映像も含めて、

誰でも、ちょっとしたきっかけで、

いじめに踏み込んでしまう危険さを感じさせてくれます。

 

また、いじめに対する成敗感情の危うさも映画で強く表現されています。

相手は悪いやつなんだから何してもいい、

加害者の一族もみんな悪いやつで、成敗の対象、

エスカレートしながらも、社会に変わって成敗する一種の敵討ちの形で、

正義の執行を行っているのだ、と疑わずにさらにエスカレートしていく様は、

結局は、いじめ返しに過ぎず、いじめを否定する人間が、

いじめを楽しんでいる構図を見せつけられます。

理解はできながらも、見終わった後に、深く考えさせられます。

 

面白い、スッキリする、エンターテインメントとは異なる感想の映画ですが、

見るべきで、考える必要があるとは思える映画です。

 

今現在、いじめに遭ってしまっている人は、いい気分がしないでしょうし、

見ない方がいいかもしれません。

かといって、タイトルは「許された」とありますが、

いじめる側を助けたり、美化してもいません。

これを見て、いじめが増えるとは思いにくい映画です。

www.yurusaretakodomotachi.com

 

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