一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

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マスコミ批判をニュースの現場から【「反権力」は正義ですか】

0.はじめに

ニュース全般を見ていて、マスコミの報じ方に、

違和感を感じてしまうことは、少なくないと思います。

特にテレビの報道などは、

・ニュースなのか、誰かの意見なのか

・論評なのか、取材に基づくものなのか

・行政の発表の数字なのか統計なのか、また引用先は何か

などがごちゃ混ぜになってしまっていることが多いこと、

また、情報に「空気」「雰囲気」をつけてしまって、

見る人に、印象をつけて伝えてしまっていることがあります。

 

ワイドショーやコメンテーターがいるニュース番組では、

必ずしも専門的ではない見解が、ニュースに付随して放送されるので、

見る人の判断をゆがめてしまう危険性は感じます。

 

新聞だと、欄にもよりますが、比較的新しくて意見の入っていない情報、

週刊誌だと、もう少し取材スパンが長く、ストーリー性があるもの、

書籍だと、専門家が集約・抽象化し、見解も加えられたもの、

と手に取る時から、ある程度区別されているのですが、

テレビとネットは、そのあたりが混ざってしまっています。

見る人が情報に混乱や翻弄されてしまう様子は、

コロナ禍ではかなり明確になったと思います。

 

また、別記事のニュース・リテラシーの記事で

紹介させていただいた書籍では、(記事末の関連記事で紹介しています)

上記のメディアの特性に加えて、作る側の都合による、

情報の取り扱いの違いもあります。

 

今回紹介するのは、

ラジオニュースに長年携わり、リスナーからの信頼も厚い、

記者兼、パーソナリティの方の著書になります。

細やかな取材に基づき、発信を続けられている方の見解で、

とても興味深い本になっています。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から (新潮新書

著者: 飯田 浩司 さん

飯田さんはAM放送の記者兼パーソナリティの方で、

今回が初の著書になるそうです。

ラジオ番組を聞けば一瞬で解消されますが、

なんとなく、AM放送で報道に関わられていて、と聞くと、

実に失礼かつ勝手ですが、ご年配の方かと思ってしまっていましたが、

1981年生まれの方で、確かに発信されている視点は、

ご年配の意見や、歴史的観点も、若い人の視点も併せ持つ、

著者の方の知見の深さからもさらに合わせてだとは思いますが、

バランスの良さが著書を読んでいても感じられます。

 

2.内容まとめ

著者が取材を通じて、実際に現地で見聞されてきたことと、

実際に報じられてしまっている、建て前の情報、

わかりやすく伝えるために、必要なところまでそぎ落とし、

現地の状況が正しく伝わっていない情報、

情報に感情を混ぜてしまっていたり、データの伴わない情報、

そして、タイトルにある、反権力はマスコミの使命なのか、

という問題に切り込んでいます。

 

現地取材に基づいた、現地の方々の意見は、

必ずしもテレビで報じられている事とは違い、

安易な二元論ではないが、でも実情が理解できる、

とても納得できる事例が多く書かれています。

 

3.感想とまとめ

ニュースの見方につながる、とても面白い本です。

基地問題や震災などのデリケートな問題にも、

ラジオを聞かれてもわかるのですが、著者の良い人柄かつ誠実に、

取材と発信に向かっていることがうかがえて、

読み進めやすい本になっています。

 

マスコミ批判にはなりますが、

陰謀論を解明するような話ではありません。

実際に取材でしか得られない、そこにいる人のリアルな感情に

基づいた、著者なりの見解、として読んでいただくといい本だと思います。

ただ、このように報じられる報道が増えると、

もう少し、マスコミ不信は軽減されるのではないかな、

と感じずにはいられない感想をもつ一冊です。

 

自分が住んでいるエリアとは離れていたり、

大人になってから知った、長く続いている問題などに対して、

事柄だけの理解ではない見解が加わる、興味深い本です。

 

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