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生きづらさの一因、「パーソナリティ障害」とは何か【パーソナリティ障害】

0.はじめに

タイトルのパーソナリティ障害という言葉、ご存じでしょうか?

2000年代前半から、人格障害という表現から切り替わってきた

経緯があるそうです。

ことばの変化と共に、だんだん広く知られる様になってきていますが、

一般的には、性格や行動がかなり極端な傾向を示す症状、

と扱われていることが多いと認識しています。

 

広く知られてくると同時に、それなりに多くの人に見られる

ある意味一般的な症状でもあることも知られ、

現代人の生きづらさの結果の一端が、

このパーソナリティ障害であるとも言われています。

 

今回紹介させていただくのは、

どちらかというと、パーソナリティ障害の古典本になりますが、

一番基本的な内容が網羅されている本だと思います。

古典といっても、「パーソナリティ障害」と呼ばれてからなので、

昔の本という訳ではありません。

 

何か自分に違和感を感じるな、という時、

また、他人の言動、行動でちょっと極端ではないかな、と思う時、

また、ネットでのコメントなどでも強い違和感を感じる時、

この本を読んでみると、ストンと落ちるところがあると思います。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」 (PHP新書

著者: 岡田 尊司 さん

著者は、精神科の医師で、

パーソナリティ障害治療の最前線に立つ臨床家の一人、

と著書内で紹介されています。

特徴的なのは、小説も書かれていて受賞経験もある、大変多才な方です。

著書内でも、なるほどと思わせる見聞の広さ、文章の巧さは

十分に感じられると思います。

 

2.内容まとめ

冒頭でパーソナリティ障害の定義を、

「偏った考え方や行動パターンのため、

 家庭生活や社会生活に支障をきたした状態」として、

具体的な症状のパターンについての解説に入っていきます。

 

それぞれのパターンに見られる具体的な症状、

その症状にいたったと推測される原因と、パターンによっては、

その症状を見せる人への接し方、また克服につながる方法が書かれています。

 

また興味深いのが、過去の偉人や有名人にも、

同等の症状が見られたのではないか、という推測やその理由なども

書かれています。

例えば、夏目漱石は、自身の日記や小説の中の記述から、

現代の診断の基準では「失調型パーソナル障害」

ではあったと推測される話、またどうやって克服していったと考えられるか、

などは、パーソナル障害についての理解も深まりながら、

読み物や雑学としても魅力的です。

 

著者の紹介でも書かれていますが、

専門家で、現場の最前線の方なのですが、それを踏まえながらも、

専門書の難しさは軽減され、さらに興味深く読み進めていくことができる、

とても読みやすい本だと思います。

 

3.感想とまとめ

著書内でパーソナリティ障害とは、

自分を守る為の、生きづらさを補う為の生存戦略であるとして、

障害や病気として扱うよりは、ある意味うまくつきあうことが書かれています。

その為に、起きた症状と表裏にある原因を知り、適切な対処をすることで、

自立した、バランスの取れた生き方につながることが意図されています。

 

巻末には、パーソナリティ障害の診断テストがついています。

いつも思うのですが、冷静にこの本を手に取って、

診断テストに臨める人はだいたい問題が少なかったり、

また、本をよく読んで、素直に克服していけると思われるのですが、

この本で紹介される症状の人たちは、あまりこの本を

手に取ることはないのではないかと思ってしまう、

ちょっと矛盾に似た無力さは感じます。

 

このブログでは、ネットでの極端な人たちについての本の

紹介を多く行っていますが、この本も、

ネットで誹謗中傷を行ったり、

自分の正しさを疑わない人たちには、届きにくい本なのでは、

と思いながらではありますが、

ネットを見てモヤモヤしてしまった人の

メンタルヘルスにも必ず役立つと思う本です。

 

著者も、パーソナル障害を知り、向かい合うことで、

自分自身を知り、本当に自分らしい生き方に出会うきっかけになる

と解説しています。

パーソナル障害に対して、不安を煽る様な書籍もありますが、

この本の著者は、何とか生きようとする、人間の力強さを

パーソナル障害に感じる、という人間愛があり、

それが読み終わりの良さにつながっている、とてもいい本だと思います。

 

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