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諦めるというメンタルヘルスとイノベーション【諦めの価値】

0.はじめに

諦める(あきらめる)ということは、

一般的にはネガティブな言葉です。

今回紹介する本でも触れていますが、

諦めることは意志が弱い、努力を続けないなど、

既存の価値観の中では、良くない印象を感じてしまいます。

 

諦めずに続けることで、成果にたどり着いた成功例、

諦めないためのメンタルについて論じている本は非常に多いと思います。

そのような中で今回、紹介させていただく本は、

「あきらめること」にアプローチしている本です。

 

諦めることについてふれている書籍ももちろんありますが、

ただ、よくある

「いったん別のこと考えてリラックスしよう」

「三日坊主でも、また続ければ大丈夫」

「頑張らないでも大丈夫」

という種類の本でもありません。

かといって、結局諦めることは良くないことだから、

やっぱり頑張っていこうという本でも、もちろんありません。

独特のアプローチがとても面白い本です。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「諦めの価値」 (朝日新書

著者:森 博嗣さん

著者の森さんは、工学博士、小説家という異色の経歴の方になります。

大変たくさんの出版をされている方としても有名な方だと思います。

ジャンルも広く、見聞の広さ、深さを感じさせる作家の方です。

 

2.内容まとめ

タイトル通り、「諦める」ことに対して、

様々な考え方、効用を論じているエッセイです。

このブログでは、専門家の見解をまとめた書籍の紹介が多く、

エッセイは初めてになるかもしれませんが、

切り口が斬新で面白く、とても参考になる本です。

 

「正しい諦めこそが価値を持つ」として、

実体験、または事例に基づいた、効果的な諦め方が紹介され、

自分を見直し、思考を深め、将来・未来の為に

取捨選択を適切に行う作業として、諦め方が解説されています。

 

諦めるバランス、自身を見直すメンタルヘルスとしての諦め、

パフォーマンス向上の為の諦め、

そして、他人に優しくなり、人間関係の改善につながること、

一種のイノベーションパラダイムシフトにつながることにもふれています。

 

3.感想とまとめ

この本で紹介されている「諦め」は、

お金の使い方に非常に似ていると感じます。

これまで使ってきたお金の使い方を見直して、

要らない出費は抑えて、必要な事にはしっかり使う、

時間などに関する考え方などにも非常に近いと思います。

 

お金や時間は数値化が可能ですが、

気持ちは数値化しにくいので浪費に気づくことができず、

また、もっと極端に言えば、返済不可能な借金のような状態にも気づけず、

悪循環に陥ってしまう、また既に陥っていることに対して、

なかなか客観的に捉えることができません。

お金や時間以上に頑張る精神力やモチベーションは

無限だと信じてしまいがちですが、

実は、有限で個人差もあり、定量化しにくいものだと考えさせられます。

 

一冊を通して、様々な諦めについて読むことになるのですが、

ただ、ネガティブな諦め話を突きつけられるわけではなく、

自身を見直し、将来への希望が湧いてくる、

諦めが楽しみになってくる、とても興味深い本です。

 

また、現代のギスギスしたり、生きづらいと感じる世の中に、

著者の提唱する諦めが、とても有効であると賛同できます。

 

今までも、自分を許せないことが、他人を許せない人たちの

主な心情であることは、色々な書籍紹介でも触れられていますが、

同じように、他人に執着する人は、自分を諦められない人であること

にもふれています。

プライドが高くて、他人を許せない人は、

この本に紹介されている他人を諦めることをはじめてみれば、

自分も楽になるのでは、と思われます。

(ただ、他人を見下すという意味での諦めではないので、

 目次だけではなく、きちんと著書を読みましょう)

 

著者は、工学系の専門家として、また作家として

さらには、たくさんの執筆数もあり、多能かつたくさん仕事が

できる人がその中でどうやって諦めて、

より望む方向に進んでいったのかは、

著者ぐらいの人でも、諦めてるのかと、と大変参考になります。

諦めずに希望を持ち続けることを否定しているわけではなく、

むしろ、その実現の可能性を高めるための方法論、

とすら考えてもいいぐらいの本です。

読みと、気持ちが軽くなると思います。

 

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