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ヒューリスティックとバイアス【認知バイアス 心に潜むふしぎな働き】

0.はじめに

何だか、外国の映画か、アニメの登場人物か、

みたいなタイトルになってしまいましたが、

いずれも心理学の用語です。

人間の錯覚や思い込みの原因となる認知行動での書籍で出てきます。

 

バイアスについては、以前の記事でも

紹介させていただきましたが、

多くは「認知バイアス」を指すことが多く、

先入観や思い込みを生み出す原因となる認知に伴う行動です。

ことばそのものは、偏りや偏見と示す意味で使われます。

 

今回紹介するヒューリスティックは、

「必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に、

ある程度正解に近い答えを得ることができる思考法」と解説されています。

「経験則」と同義であるとも説明されています。

 

ヒューリスティックとバイアスは、

用語としては、近い意味を示していると思われますが、

より深い意味と、その関連性が書かれている書籍を紹介しながら、

読み解いていきたいと思います。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」(講談社ブルーバックス

著者:鈴木 宏昭さん

著者の鈴木さんは、認知科学を専門とする大学教授として著書内で

紹介されています。他にも認知科学の著書を書かれています。

ブルーバックスは科学に特化した新書で、理系の本と思われがちですが、

わかりやすく書かれている本も多いので、文系の方にもおすすめです。

 

2.内容まとめ

認知の仕組みの理解と、それが用いられる状況から、

認知バイアスに迫ること、をテーマに書籍がすすめられていきます。

よくあるバイアスについて、人間の愚かさを紹介する向きとは一線を引くことを

目指した本と著者は述べています。

 

冒頭に挙げたテーマに従い、

記憶、注意、リスク認知、概念、思考、そして創造、集合知へと

認知の仕組と状況から、様々な認知行動、バイアスについて解説が進んでいきます。

最後に総論として、認知バイアスについてまとめられています。

最終的に、より新しい認知方法にたどりつくために、

様々な認知方法を道具として活用していく目的が書かれています。

 

バイアスについて書かれている本は結構たくさんありますが、

その認知現象の仕組みに合わせて、

割と実感に迫る状況が一つ一つ挙げられているので、教科書ほども固くなく、

具体的な理解が進めやすいことが特徴として挙げられる本だと思います。

 

3.感想とまとめ

興味深かったのは、今回の記事タイトルの

ヒューリスティックが、「ステレオタイプ」という言葉と

結び付けて説明されている部分です。

ステレオタイプとは、「多くの人に浸透している固定観念」を指しますが、

著書内で紹介されているのは、

人種とその特徴に対する固定観念です。

例えば、私たちはテレビで黒人のアスリートやミュージシャンを

または、デモや暴動などで粗暴な面も合わせてテレビで見る為、

黒人の人はみんなその特徴があると、思い込んでしまうことが挙げられています。

テレビなどが、視聴者の受けだけを考えて、

このステレオタイプに沿った情報選択をすることで、

この偏りはより補強される懸念が記されています。

 

私も、海外に行った際、日本人は日常的に寿司を食べているのかと

聞かれたことがあります。これも一種のステレオタイプです。

ついでに、空手や柔道もできるのか、とも聞かれました。

ちょっと笑い話の様ですが、遠くないことを私たちも行っていると思います。

 

これは「代表制ヒューリスティック」という、

①得られた情報 → ②代表例との比較

 → ③類似度判断 → ④カテゴリー化

という過程を経て、認知、思考に至る仕組みなのですが、

最初の①、②が限定された情報の場合、③、④が非常に偏ったものに

なってしまうということが理解できると思います。

これは、人種の理解だけにとどまらず、

ジェンダー、学歴など、様々な認識に及ぶと考察されています。

ネットで見られるコメントには、この傾向が非常に強いことは

想像に難くないと思います。

実際に、知っている、知らないだけではなく、

限られた知識を、勝手に類推とカテゴリー化してしまっている発言やコメントは、

ネットに限らず、様々な場面で目の当たりにすることです。

ある意味、知ったかぶりよりもタチが悪い状態だとも感じられます。

 

また、創造性バイアス、という要素も論じられています。

固定観念、思い込みが創造性を阻害する、という要約になりますが、

失敗を冷静に見つめ、失敗から徐々に改善していく過程、

多様性を認めていくことの必要性が記されています。

有名な短歌ができていく過程など、面白いトピックを用いて

解説されています。

 

バイアスの仕組をよく知り、補っていくことで、

自分に起こるバイアスも変わっていくことが理解できる一冊です。

 

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