一方的な批判・非難ばかりのSNS、いじめについて考える読書ブログ

少しでも心のモヤモヤが晴れて、心が優しく、強く感じられるように。

なぜネトウヨは朝日新聞が嫌いなのか【朝日ぎらい】

0.はじめに

SNS、ネットのコメント欄で、

とかく朝日新聞は嫌われます。

ついでに、テレビ朝日アエラも嫌われています。

記事の発信元が朝日だと、偏向報道だと決めつけ、

記事の内容に対しても揶揄されます。

 

今回は、その「朝日ぎらい」が何故起こってしまったのか、

分析をしている書籍を紹介させていただきます。

 

よく、「朝日新聞が捏造記事を書いた」という話は、

様々な記事、書籍で検証をされています。

このブログの別記事で紹介させていただいた書籍でも、

ある記事捏造騒動の検証にふれられています。

多くの書籍で明らかになっていますが、大きな声で捏造を訴えた政治家などは、

訴えたトーンで自信の発言を訂正することはせず、検証が出ると共に

そっと静かに過去の主張を削除したり、足跡を消しています。

いつの間にか、その大きな声だけを信じてしまった人は、

取り残されたことも知らずに、同じ批判コメントを続ける形になっています。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論」(朝日新書

著者:橘 玲(たちばな あきら)さん

著者の橘さんは、ネット心理に関する書籍が多い作家の方で、

話題となったり、賛否両論が起きる書籍を多く出されています。

このブログでも、橘さんのツイートと、

ベストセラーの「無理ゲー社会」の紹介をさせていただく記事を

上げさせていただいています。

 

2.内容まとめ

巻頭で書かれていますが、

この書籍の目的が、朝日新聞を擁護、または批判するではなく、

ネットで広がる、朝日新聞が嫌われている現象を原理的に分析する、

と定義されるところから始まり、

一冊を通して、「リベラル化」「アイデンティティ化」をテーマに

著者の分析が論じられます。

朝日に限らないマスコミ批判などにふれられる部分はありますが、

朝日に対して、強く踏み込んだ部分は見られず、

他のマスコミ報道に詳しくなる書籍でもありません。

 

一種のマクロ的な思想面の、右傾化とリベラルの関係、

個々の内面的な思想面の、ネトウヨアイデンティティの関係が、

国内、海外などの事例も組合せながら解説され、

現代の思想の傾向を洗い出し、それらと対決構造が作られやすい、

朝日を嫌いになっていく理由を明かしていき、

誰がどういう風に朝日ぎらいを

作り上げていったのかがわかる書籍になっています。

 

序盤では、主に国内のリベラルの捉え方について、

書籍中盤からは、ネトウヨをはじめとするネット投稿者の

価値観とアイデンティティについて、

後半は、ネット民とリベラルについての考察を中心に論じています。

終章、あとがきでは、マスコミなどのリベラルを自称し、語りながらも、

年功序列、女性の人数比、給与制度など、実際には

リベラルではない、ダブルスタンダードの批判にもチクリとふれています。

 

3.感想とまとめ

この著書のテーマの一つである、「アイデンティティ」に

ついて論じている部分は、ネットでのコメントの内容から

感じられる、ネット民の傾向を非常に的確に読み解いていると思います。

 

著書内では、ネトウヨを投稿に駆り立てる主要な動機として、

「弱者利権」批判が指摘されていて、これは、他の書籍などでも

指摘をされていることではありますが、一部引用させていただくと、

在日特権」の語に象徴されるように、

「『弱者』を装って、利権をほしいままにするマイノリティ(外国人)のために、

自分たちマジョリティ(日本人)が『弱者=被害者』になっている」

という倒錯した意識がネトウヨの特徴だ。

また、ネットで繰り返し行われるマスコミ批判に対しては、

マスメディア(朝日的なるもの)を「マスゴミ」と揶揄する背景にも、

「非マイノリティポリティクス」がある。

これは少年犯罪に顕著で、ネトウヨは未成年であることを理由に

加害者の人権が保護される一方で、生命を奪われた(未成年)被害者の

実名や顔写真が報じられることの理不尽さを繰り返し告発することで、

自らの手で「正義」を実現しようとしてるのだ。

とも論じられ、マイノリティ(少数派)が守られることで、

「非マイノリティ」が損をしている錯覚をしている指摘をしています。

 

これは、別の書籍では、「相対的剥奪」という言葉でも論じられ、

実際に何かを奪われたわけではなくても、他人と自分を比べた時に、

現実の自分と、期待していた自分との差に不満を感じる感情とされています。

「自分に直接関係なくても、他人の得が許せない」

「自己評価ほど自分が他人から評価されないのは、誰かが得をしている

 せいではないのか」という感情になります。

この感情は、差別感情の原因となったり、小田急線事件の様な、

無差別刺傷事件の原因となっているとも述べられていることに

つながる内容だと感じます。

 

また、もう一つのテーマとされる、リベラルについても理解が深まる一冊です。

学術的な側面よりも、より現実的な海外と国内でのリベラルの在り方、

また、リベラルに対する対決構造を作り方などから、

ネトウヨの支持を広げていく具体的な方法などを通して、

国内・海外を通してのリベラルについて知ることができます。

 

SNS、ネット投稿を行う人の思想・心理を読み解く

発信や書籍が多い著者ですが、今回も独特の視点が特徴的な一冊ですが、

的をついていると感じる部分はとても多く、参考になる一冊だと思います。

 

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