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自己絶対化について考える。【はじめての宗教論 左巻】

0.はじめに

自己絶対化とは、自分を絶対化する、

自分が絶対に正しい、

一番中心となる大事な存在として捉える考え方で、

自己中心の極端な形として

取り扱われることが多い言葉です。

反対語は相対化になり、他との関係によって、

自身の存在が確立するという考え方になります。

 

自己絶対化は、哲学や宗教学で扱われることが多い言葉です。

人間や民族を絶対化することで、

絶対に正しい、間違いのない存在とし、

コントロールすることに都合がいい為、

宗教、主にキリスト教の中で、また、近代西洋政治の中で、

宗教を通じて自己絶対化が行われてきたといわれています。

 

主にネットで問題となっている誹謗中傷ですが、

他にも、世の中で問題となっている、様々な迷惑行為を

読み解く一つの要因に、この自己絶対化が大きな要素だと

考えられています。

 

今回は、宗教学の本から、

自己絶対化を考えたいと思います。

宗教学といっても、布教を目的としている訳ではありません。

むしろ、宗教批判としての宗教学としてのスタンスもうかがえます。

読み解くことで、宗教に対する、

しっかりとした考え方が身に付きます。

 

今回の目次です。

 

1.紹介する本

「はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学」(NHK出版新書)

著者:佐藤 優さん

著者の佐藤さんは、神学者宗教学者という肩書になりますが、

もともと外交官で、逮捕歴もあったりするのですが、

様々な宗教と交流があったり、

こうやってNHK出版からも本を出していたり、など、経歴はかなり複雑です。

著書も、ビジネス書から政治・官僚論、世界史、宗教学など、

多岐にわたって、たくさん出版されています。

 

本書は、宗教論となってますが、

教義だけではなく、世界史との関係、政治との関係、

そして人間との関係、と様々な視点で、宗教を読み解きます。

ただ、「はじめての」となってますが、

ビジネス書とかでよくある、「はじめての」とか「サルでもわかる

とかとは、全く違います。かなりガッツリです。

読み応えたっぷりなので、覚悟して臨みましょう。

 

2.簡単な内容まとめ

・近代のキリスト教における、「神の場」の変化

・近代キリスト教ナショナリズムについて

・神学とは何か

・神がいるのに、なぜ悪がいるのか

他にも、カネと宗教のこと、尖閣諸島問題、貧困問題、

ヒューマニズムナショナリズム

自己絶対化と戦争、など、幅広く具体的な事例を挙げて

宗教学と世の中の事象を結び付けて説明されています。

 

3.感想

一言でいうと、「難しいけど読む価値あり」です。

内容そのものが難しいこと、宗教学をテーマにしているので、

普通はなじみがなかったり、教養が不足してることから、

とっつきにくいとは思います。

読むのも時間がかかりました。

ただ、読み終わった時、体系だった知識がつきます。

教義を論じているだけではなく、実際の歴史で起こったことや、

これからの社会への懸念なども書かれていて、

勉強の為の勉強、ではない感じがします。

 

人のその地域・時代の考え方や道徳観には、宗教が大きく関係します。

近代の日本は、西洋の影響が色濃く、

その西洋の考え方を読み解くには、神学を知ることは、

重要だと思い知ります。

 

ネット民と小さくまとめてしまえる内容ではないですが、

現代人が、考え方や道徳観にどのような影響を受けているか、

の参考にはなりました。

 

あくまで、一人の著者の話だけなので、

宗教学を知っている、というのはおこがましいですが、

教養がついた満足は得られる本だと感じました。

 

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